この場合、電流はプラスの方からマイナスの方にながれると約束をしている。つまりプラスの電気の流れる向きを電流と決めているのである。
ところが、電子の移動で考えてみると、マイナスの帯電体にあった過剰の電子が、電子が不足しているプラスの帯電体の方に移動して、電子の過不足が埋め合わされる。
補・60図のように、電流が流れる向きと、電子が流れる向きとは互いに逆になっている。
5) 電圧・電流・電気抵抗
更に具体的に話しを進めると、補・61図のように水の入った水槽を二つ用意してお互いにパイプを通じ、コックを開くと、水位の高い水槽(A)から水位の低い水槽(B)に向かってパイプの中を水は流れ、両方の水槽の水位が等しくなると、流れは止まる。
この場合水を流そうとする力は、(A)の水位と(B)の水位の差、つまり「水圧」であることは明かで、水圧が高くなるほど、流れる水の勢いは強く、流れる水量は多くなる。
電気の場合もこれと同じことが云える。
補・62図のように、プラスの電気をもった金属球Aとマイナスの電気をもった金属球Bを導線でつなぐと、Bの電子がAに移動して行き、そして両方の電子の量が等しくなると、電子の移動は止まる。
電気の量のことを普通、電荷とよび、単位にはクーロン(記号はC)が用いられる。
水槽の水位に相当するものは、電気の方では電位と云い補・62図の場合、球Aの電位の方が球Bの電位より高くなっている。電位の単位にはボルト(記号はV)が用いられる。
水槽の水位の基準は、水槽の底に取ったが、電位の基準は大地(地球)に取り、大地の電位を0ボルトとして電位を定めている。水位の差が水位差であったと同様に、電位の差を電位差または電圧と云い、単位は同じボルトである。
電流の大きさは、毎秒何クーロンの電荷が移動したかによって表し、毎秒1クーロンの電荷が移動するとき、これを1アンペア(記号はA)の電流という。