これに従って各負荷の作動点をプロットしてからそれらを結ぶと破線のようになる。この曲線はマージン約8%となるが、バラスト状態の貨物船の結果であればほぼ計画の通りであろう。
4] 経年変化
前頁の2]と3]を比較すると、今回の試運転時は新造時に較べて約4%のマージンが減少(トルクリッチ側に寄っている)が観られるが、これを経年変化と呼び、船体の傷や取り切れない汚れ、あるいはプロペラ損傷等による疲れ現象である。
5] トルクリッチとプロペラカット
この平面は、就航中であっても常に利用できる。たとえば、就航十数年を経て定期検査ドック直前の作動点がAゾーンを超えてCゾーン内にあったとすれば、トルクリッチ状態でありドック時の対応を検討しなければならない。
ドックで船体を洗浄すれば作動点はAゾーンに戻ってくるが、それが大きく戻ることは期待できないので、ドック時にプロペラをカットして、大きくプロペラマージンを復帰しなければならない等を検討する資料となる。
5) 連続最大出力変更後の運転
検査のドック時に、機関連続最大出力変更(以下出力変更とする。)が行われることが、最近はよくみられることである。
1] 出力変更とは
現在の船員法では乗組員の数が機関連続最大出力によって決められている。その規則に合わせるために、船主が自主的に所管官庁に出力変更の届を申請して承認を受けて行われる。よって、直接整備には関係ないが、検査官立会いで海上運転が施行される。
2] 出力変更届の作成
通常は、船主の依頼で機関製造所が製造時の各計算書や陸上試運転成績をもとに出力変更届に必要な設計検査用の書類を作成する。
3] 出力変更の内容・機関性能変更例
例えば、ある機関の連続最大出力を955kW(1,299PS)から750kW(1,020PS)に変更する場合は
a] 主要目
連続最大出力 (kW) 750←955
回転速度 (min-1) 376←410
シリンダ内最大圧力 (MPa) 11.5←13.0
平均有効圧力 (MPa) 1.56←1.86
b] 燃料ポンプラック目盛
110%負荷時 平均値
新:26.1 現:31.1