(2) エコミュージアムの概念整理及び展開の方向性
1] エコミュージアムの概念
エコミュージアムとは、1967年にフランスでG・H・リヴィエールが提唱した概念で、建物の中に展示する従来型の博物館とは異なり、自然景観・水路・建築等に加えて、地域の産業や住民の生活そのものまでも含めた有形・無形の地域資源を対象とし、「地域全体が博物館」という思想に基づいた地域づくり活動である。「エコミュージアムは、行政と住民とが共に構想し、創り出し、活用する手段である」とされ、地域住民の積極的な参加を通して、地域住民が地域を理解・発見し、地域アイデンティティを獲得することを第一義としている。
エコミュージアムは地域住民が生活の中で生み出し、活用してきた文化を「文化遺産」にまで高め、また、地域の人々が慣れ親しんできた自然環境も「遺産」とする。それらを「遺産」として保全・活用することにより、自らの生活を見つめ直すことができ、自己及び地域を客観的に見ることができる。
また、「エコミュージアム、それは学校。研究と保護の為の活動に住民の協力を得るものであり、地域の将来の可能性を探り、学ぶことの出来るよう推進するもの」とされ、その定義は固定されるものではなく、住民の主体的な活動によって絶えず発展し、創造されるものであるとされている。
2] エコミュージアムの形態
フランスのエコミュージアムでは、その対象範囲が市町村単位から州(4〜5県ほどの広域行政区域)に及ぶまで様々な規模があり、人口規模でも数千人規模のものから150万人規模にまで及んでいるが、このような規模で、次のような形態で構成されていることが多い。