第二章 朝倉町の農村景観特性
1. 朝倉町の農村景観と水車群の関わり
(1) 水車の魅力と計画課題
1] 朝倉を象徴する水車群の魅力
本町の農村景観の魅力を象徴するものとして、町外へのアピール度が最も高いのは、堀川沿いの三連水車であると考えられる。このことは、第1章3項「朝倉町及び広域的な観光特性」の中でも、本町への観光入込客数の大半が三連水車周辺を訪れているという推定にも表れている。本項ではなぜ三連水車が都市住民に対して魅力的に映るのかという事項を考察した上で、本町の農村景観の魅力を再評価する足掛かりとしたい。
三連水車の魅力には、歴史的・文化的遺産としての魅力、産業遺産としての魅力が挙げられる。一方で観光客の来訪動機として考えられるのが、水車の持つ視覚的イメージであると考えられる。
○歴史的・文化的遺産としての魅力
・筑後川より水を引き込む山田堰、堀川用水との一連の関わりを含めた全体を対象とし、先人の知恵や苦労が見て取れる歴史的遺産として評価が高い。
・文化遺産として見たときのその構造や形態などの面白さ。
○産業遺産としての魅力
・数百年もの間、本町の基幹産業である「農業」を支えてきた産業遺産であり、それが現在も実働している。
○視覚的イメージの魅力
・ダイナミックに水を汲み上げる姿が、都市住民にとって涼を感じさせる。
・それぞれの来訪者が持つ農村のイメージ、あるいは落ち着きを感じさせる風景イメージと合致している。
・「三連水車」から何ら恩恵を受けていない都市住民にとっても「心のふるさと」として認め得るだけの魅力があると考えられる。