本市の最大の魅力を活用するためには、基本構想で謳(うた)われている窯元見学の受け入れなど、陶磁器生産地でのクラフトパーク化構想を積極的に推進し、主要施設への一極集中型観光形態から、各地区窯元を巡る回遊型観光地への転換を図ることが必要である。
エ 通年型・宿泊型観光形態への転換と観光関連産業の育成
本市では、観光客を受け入れるための飲食店など、観光産業を支える関連産業の集積が、十分にあるとはいい難い。これは、特定日時のイベント型観光が主体となっていて、夏の短期間のみ営業する「海の家」同様、民間の資本投下が難しい環境にあるためである。
今後、本市の産業観光関連機能の集積を促し、魅力的なサービスを提供するためには、イベント開催による一過性観光形態に加えて、通年型観光形態への取組・転換を図る必要がある。
とくに、低廉な宿泊代での利用が可能な市立の青年の家や県立の若人の丘などの活用を通して、滞在型の作陶教室の開催など、既存の観光・レクリエーション施設と連携した観光開発を検討し、通年型・滞在型観光開発による観光関連産業の育成に努める必要がある。
オ 陶磁器のふるさとにふさわしい個性的な街並み形成
本市では、道路沿道への陶彫設置や街角ギャラリーによる街並み演出への取組を進めているが、その成果は十分に発揮されてはいない。とくに、本市の顔であるJR土岐市駅前で、陶磁器のまちとしての雰囲気があまり感じられない。
産業観光を振興するためには、街並み景観も重要であるが、陶磁器生産が隆盛を極めた当時のシンボルともいえるレンガ積みの煙突は、今日では、数えるほどしか残っていない。こうした産業遺産の保存も重要であり、今後、美濃焼をイメージできる都市景観形成のために、歴史的建造物の保全・活用や、個性的な街並み整備などに、官民挙げて積極的に取り組む必要がある。
(3) 市民や団体主導型の「まちづくり」をいかに進めるか
ア 作陶など、市民文化活動の活性化と顕在化
美濃焼産地として市民の陶芸活動は盛んであり、また、学校へ窯を据えるなどの活動も進められている。しかし、一般の観光客の目に触れる市民の陶芸活動は、JR土岐市駅2階に設けられた郷土物産陳列所が唯一である。