第4章 小淵沢高原リゾートの課題
1 小淵沢高原リゾートの課題
これまでの分析をもとに小淵沢町の高原リゾートの課題を整理するといかのようになる。
(1) 資源・施設面
○小淵沢町は“八ヶ岳の南麓に広がる高原”という一級の資源性を有し、高原リゾート地としての一定の展開はみられるが、その他の自然系資源(例えば巨木、湧水、動植物)の活用も工夫すべきである。
○歴史・文化系資源では、単一で誘致力を持つような資源はないが、“棒道”の他、神社や古道あるいは生活や風習に根ざす民族文化資源等、近年台頭している“地域文化観光資源”あるいは“歩く観光”に対応できる素材はみられ、資源の再発見と活用を検討する必要がある。
○美術館等の文化施設は数多く立地しており、小淵沢町の一つの特色となっているが、必ずしも一般来訪客に知られていないことや、“群”としてのアピールや相互連携が十分ではなく、“小淵沢町の特色”としての訴求方法を考える必要がある。
○ペンションを中心とした宿泊施設は、現在の需要低迷の中においては健闘していると評価されるが、個々の努力に依存しており、より安定した需要を確保するためには、各ペンションにおけるさらなる経営努力とともに、業界連携等一体的な誘客体制を強化する必要がある。
(2) 利用・消費構造
○小淵沢町の季節別利用状況をみてみると、夏場の避暑を中心とした利用構造になっており、夏以外での誘客対策を強化する必要がある。
○首都圏に近く、リピート客が多いのは確かであるがペンションや牧場等の観光施設や事業者個々の努力に依存しており、地域全体としてのリピート性を確保・強化する受け入れ体制の仕組みづくりが必要である。
○飲食や土産品等の魅力が弱く、消費効果を生む仕掛け作りを整えていく必要がある。
○現状では1泊滞在に対する受け入れ体制しかできておらず、1泊を2泊に、2泊を3泊にする滞在性強化の方策が必要である。