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ペンションの稼働率は年平均にならすと2割弱。ペンション全体の6割がこの程度の稼働率である。つまり年間73日程度の稼動。一ペンションあたり10部屋、料金8500円として、

→73日×10部屋×2.5人/部屋=1,825人/年

1,825人/年×8,500円/人=1500万円/年 が平均的売上げ。

この1500万に届いていないペンションが多くなっている。ペンション経営はコストをいかに最小化するかがミソとなる。コスト構造は人件費が大部分を占める。詳細な内訳は把握していない。

付帯収入はあまり期待できない。バブル期、Tシャツやペンショングッズが流行ったが、今は成り立たない。テニスコートなど投資をやったところは、債務超過に陥るところも出ている。本業のみではやっていくことが難しい場合、アルバイトなどをオフにやらざるをえないオーナーもいる。

前述のように、ペンション創生の頃は、ペンションというだけで人が来た。しかし、その結果「ちゃんと経営をしてきたのか」ということが問われようとしている。(業界団体)

 

(4) 今後の観光市場での注目点

1] 総合学習制度の導入

2002年から導入される総合学習制度に着目している。環境学習、体験学習などがこの制度の中で実践されていくわけだが、これが今後立ち上がってくる。

八ヶ岳を擁するこの地域は、こうした総合学習を受け止める素材は揃っているのではないか。

少子化の影響で、修学旅行などは大規模に人が動く時代ではなくなっている。かつては、1000人規模で動いた修学旅行も規模が小さくなってきている。こうなると、大規模なホテルや旅館に宿泊し、名所・旧跡等を動き回るより、小回りの利く、生徒の自主性で動け、時に分散的に行動できるところの方が好まれる可能性がある。小淵沢町はペンションなどが多く、オーナー間のネットワークがあれば、分宿などに対応できるのではないか。

一方、こうした教育の現場では地元において、自然体験活動などを子供に教えられる指導者が必要である。現在、教育庁では、初級の自然体験活動リーダーの講習等により指導者の育成を始めている。ここで所定のコースを収め、指導者としての資格をとり、町には数人のリーダーが居るということを市場にアピールすることも重要ではないか。総合学習制度などを展開するには、こうした受け皿となる地域での人材育成がもっとも重要だからである。特に、リーダーがいる町というのは、旅行業に対しても価格交渉力を増すことにもなる。

 

 

 

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