要は経営者の感覚次第である。「自分の地域には資源がない、市場から遠い、不便」といった否定的なことを挙げるところもあるが、これは理由にはならない。
小淵沢町のペンションなど宿泊施設も今後は経営コンセプトが必要である。バブル期の急激な需要増でオーナーのコンセプトが崩れた可能性はないか反省することも重要である。長野県の赤倉が(コンセプトが崩れた)典型例だ。
季節ごとの来訪者特性、来訪者ごとのニーズを丹念に拾えば、いろいろ提案・工夫はできるはず。例えば、「食」というように小淵沢町にある宿泊施設は特色を出しているのだろうか。(公益法人)
○ペンション経営への評価
首都圏を中心とするペンション集積地間の地域差が出ている。市場との距離が近いほど、経営的には安定化の傾向があると言える。
かつては、ペンションに泊まること自体が旅の目的であった(初期の時代)。したがって、立地条件などにあまり関係なく集客できた。その後ペンションが一般化、現在約2800軒(全国)となっている中、ペンションも普通の宿という認識が消費者に定着した。こうなると「どこにそのペンションがあるか」、むしろ地域性が評価対象となってきている。
伊豆地域は首都圏から近いこともあり、経営的に安定しているところは多い。しかし、厳しさが増している状況であることに変わりはない。
ペンションが経営的に厳しくなってきている背景には、他の宿(ホテル・旅館)との価格差がなくなっていることが挙げられる。場合によってはホテル・旅館に価格で勝てない時もある。こうなると長年のノウハウのある彼らに対し、ペンションでは勝てない。もともと、ペンションは既存の宿泊施設であるホテル・旅館より低廉で家族的な宿を提供することに意味があった。
ペンションは通年価格設定を原則としている。だが、ホテル・旅館の価格攻勢の前に季節料金制(オフシーズン料金)を導入するペンションが最近増えている。
ペンション経営のモデルケースは、以下のとおりである。
・ペンションの規模は平均土地300坪、建物100坪。
・ペンション開業には、小淵沢町地区であれば6000万円位の資金が必要。だいたい自己資金(半分)と借入で資金調達する。借入はだいたい10〜15年償還が中心。こうした資金調達の状況から、開業後10〜15年で借入金の返済が終わり、ようやく経営が一段落する。住宅ローンのように30年というような超長期の資金を借り入れることはできない。