図表1-22をみるとわかるように、山梨県は長野県に次いで農業系施設整備が進んでいる。一方、前述の中間報告書にも指摘されているが、その多くが第三セクター方式等で運営されている。しかし、競合施設の増加、思ったほど東京から集客できていないといった傾向が現れており、踊り場に差し掛かっていると考えられる。特に、事業目的が不明確、地域・生産組合との連携の不十分さなどが今後の運営面で影をさしているとしている。また、図表1-22に示すように、これらの施設の多くは複合施設であり、温泉が併設されているところが多い。確かに温泉は集客効果は高いが、温泉と地場産業や地場農業とどう連携させるのかについて戦略的な検討が不十分であると指摘している。
これらの施設が農林水産省の補助金を受けて整備されていることもあり、こうした農業系施設を地場農産品の活用・PR、ブランド化を図るためのマーケティングを展開する場とするよう求めている。こうした戦略検討の不十分さから施設の運営が目的となり、施設管理が農業振興部門と異なる部門に移り、当初の設置目的が異なるものになっていくケースが多いとしている。
同中間報告書では、関東圏におけるこうした農業系施設については、施設への集客を踏まえ、従来の系統出荷による大都市圏への流通以外に、地域市場内における消費者・生活者と直接相対した新たな流通施設としての位置づけを与え、これを発展させていく場とするなど、目標設定のあり方について今後の目標設定に戦略性をもたせることの必要性を指摘している。なぜなら、現在整備されている施設の多くは、東京という大市場から集客しているより、むしろ足元の市場からの来訪に支えられており、こうした地域市場の存在を認識することの必要性が現れているからである。