事例2:大型店舗に対するまちづくりの観点からの規制(都市計画法の運用)
〔概要〕
外資の大型ショッピングセンターの出店計画が出された地域に対して、F市は都市計画法に基づいて「小規模小売店舗地区」の指定を行った。このため、外資の大型ショッピングセンターは出店地域の変更あるいは出店の断念を余儀なくされた。
〔問題の所在〕
都市計画法に基づく「小規模小売店舗地区」の指定は、サービス協定が適用される「加盟国の措置」(地方政府の措置)に該当する。当該法令による措置がサービス協定第6条第1項の定める合理的、客観的、公平な態様で実施されることを確保する必要がある。
また、わが国流通サービス分野において、サービス協定が定める市場アクセス義務(サービス及びサービス提供者の数の制限の禁止等)(第16条)や内国民待遇義務(第17条)でいかなる留保も行っていないため、サービス協定の義務の履行に十分注意する必要がある。地元の流通業者を保護するため、当該措置が、需給調整(経済上の需要を考慮するとの要件、“Economic Needs Test”)などを名目として恣意的、差別的に運用され、外資ショッピングセンターの出店が事実上阻止されたなどの場合には、サービス協定第16条の市場アクセス義務違反を提起されるおそれがある。また、わが国事業者による同種のショッピングセンターの出店が許可されているにも拘わらず、外資ショッピングセンターに許可がおりない場合には、サービス協定第17条の内国民待遇義務違反を提起される可能性がある。
注)
(1) 2000年11月現在のWTO加盟国は、140の国・地域である。