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2. 肥満は何故、良くないのでしょうか?

 

肥満とは体内に過剰に脂肪が蓄積した状態をさします。したがって、肥満している人は血液中のコレステロールや中性脂肪が高い傾向にあります。それらの濃度が正常域を超えていることを高脂血症と呼びます。

この高脂血症は動脈硬化の危険因子になります。冠状動脈(心臓の動脈)を例にとって説明しましょう。高脂血症の状態では、動脈内膜の肥厚や変成が起こり、その部位に血液由来の脂肪が過剰に蓄積することでアテローム硬化(粥状硬化)が生じるのです。そのような病態が進行するにつれてアテロームが丘状に突き出てきて、血管内腔が狭くなります。狭くなれば血栓が生じがちになり、その結果ますます内腔が狭くなり、時には完全に閉塞されて心筋梗塞を起こしたりします。脳血管が詰まれば脳梗塞ということになります。これらは死にもつながりかねない恐ろしい病気です(図4)。

 

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図4 動脈硬化の進行と心筋梗塞の発症(Coplanら、1988を改変)

 

 

 

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