第5項 海・漁業体験教室の活用
・体験型学習やエコツーリズムは、話題先行的で、行政の支援により成立していることが多い。
・若年令層はワイルドなエコツーリズムを期待し、中高年は自然や地元の文化にふれることを期待している。
・思い出や出来事如何によっては、参加の後にも関心が高まり、リピーターへとつながる。
・海事思想の普及には、指導者がいることが望ましく、参加者は自然の驚異と人間の知 恵に感動し、水産振興にもつなげていくことが可能である。
・バーチャル社会が一般化しているときは逆に、実体験を呼び起こすことが要請されてくる。そのためには漁業者と交流することが望まれている。海・漁業体験教室は、このような活動とリンクさせ、経験を積んでいけば、好評を得るものと考える
体験型学習やエコツーリズムの実態は、新しい概念といわれながらまだまだ話題先行的である。またその過程からして、何らかの形で行政が支援していることから成立していることが多く、マーケット調査なども手探り状態であり、定着化や普及にはもう暫らく時間が必要である。
同時にこれまでの観光業界は、15人未満のそれは採算割れとなることから囲い込みをし、依然として「食べて、観て、宿泊して、買い物」という従来の多人数を消化する薄利多売型が主流であり、大手ホテルや大規模旅館などでは効率化を図る余り、その全てをひとつの館内、あるいは企業グループ内で行えるようにしている。
しかし近年は、こうしたことは飽きられてきており、また宿泊業界側にも利用料金が低迷しているため旨味がなく、従来型の旅行形態は曲がり角にきている。そのため大手ホテルや大規模旅館などでは苦肉の策として、ターゲットを絞り、宿泊参加者の層に合わせた独自のプラン、個性を売り物にすることが流行っているものの、新たな企画が生まれることはない。
海洋レジャーについても、基本的にはリゾート施設だけを拠点としており、地域或いは地域住民との関わりは全くないというのが現実である。そのため海洋レジャーと地域住民或いは漁業者間でトラブルになる原因が潜在している。やはりレジャーは、昔のように地域内(商店街や飲食街など)を興味津々歩き回ることも、大切な魅力のひとつであろう。
一方、沖縄観光や海外旅行などの需要は依然伸びているが、なかで体力や資金の関係から20〜30歳を中心に若年令層はワイルドなエコツーリズムを期待しており、40〜60歳代は自然についての解説、地元の文化にふれることへの期待が高いといわれている。
いずれにしてもレジャー参加者には、地域との交流や思い出が重要なファクターであり、地元のひと達の仲介による交流を通して土地柄の好き嫌いが鍵となる。
海洋レジャーを志向する人たちのサイドに立てば、海水浴や釣りなどで海や漁村は少し身近に感じられるものの、それ以上に接する機会は少なく、遠い存在となっている。しかしながら体の奥から感じる何か不思議な深い魅力を感じていることも事実である。そこに海や漁業について指導してくれる人たちが存在すれば、その魅力に取り付かれることも当然出てくるであろう。
例えば、産地市場などにおいてよく見かけるが、消費者はめずらしい魚介類や勢いのいいセリ場に魅力は感じているものの、みんなが忙しく働いている職場であるため、話し掛けることもできず、安心して見ていることすらできないために、立ち寄ることが出来なくなっている。