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問16 ブルーツーリズムを推進するうえで、漁協に何が求められるか。

漁協側においては、漁業者の体質改善、意識改革が必要29%、サービス産業を取り入れるが24%、海に関わる新事業に取り組むが18%、漁業中心で行くが15%、企業センスが必要14%であった。

市町村においてはサービス産業を取り入れるべきが46%、漁業者の体質改善、意識改革が必要37%、企業センスが必要11%、漁業中心で行く6%、海に関わる新事業に取り組むが4%であった。

漁業を中心で行くという意見は漁協が15%、市町村では6%であったことは、漁業不振の裏返しとして、将来に対する不安感の現われである。一方、漁協においては漁業者の体質改善を第1位とし、市町村においては企業的センスとしている。いずれにせよ特出した項目がないということは、漁協組織が新しい組織体として脱皮することが内外から期待されていることではないだろうか。

また市町村からは「今の事業範囲で対応できなければ、新組織(漁業公社)を作って対応する」「漁業者が海水浴場を経営するぐらいのことがあってもよいのではないか」「マリーナや海浜公園の管理委託などを受け入れるくらいの人材や組織の教育、変革が必要」「漁業も第3次(観せる、教育)産業に移行してもよいのではないか」などという意見も寄せられた。

 

問17 今後取り組むべき課題は。

1、ブルーツーリズムは評価段階であり、推進方策について漁業者のコンセンサスづくりに取り組む。2、漁業が成立しなくなれば、ブルーツーリズムも成り立たなくなる。3、ブルーツーリズムの規模として、ある程度の規模が必要。4、宿泊を伴なわないと収益があがらないためそうした企画が必要。5、海岸保全(漁港)を兼ねた事業がないか模索中。6、町をマグロ、カツオ、サバなどの生産地としてPRしたい。7、ビーチランドには海洋博物館的要素があるため、捨てられたゴミを食べた海の生物が、どのようになるのか、自然を通して楽しみながら勉強することも可能などという意見が述べられていたが、概ね漁業振興を図りながら、ブルーツーリズも行なう。或いはその補完として存在していくというように前向きな理解はされているようであった。

 

問18 その他、御意見、ご提言を

漁協側からは1、プレジャーボートの登録制や免許更新時の再教育などを通じて漁業規則や漁具の設置場所を知らせて欲しい。2、フィッシングパークの設置。3、長年漁業と観光により栄えてきたが、相互交流がなかった。今後は関係を強化し、事業推進をしたい。4、トラブルには漁業調整委員会が指示なり、なんなりして積極的に乗り出すべきだ。5、海レクの進展に対し、漁協は漁業権で対応しているが、長い間漁業権は絶対不可侵であるとの認識であったものが崩れ始めている。新しい解釈も含めて共有のための相互理解の勉強が必要。6、密漁専門の人以外は、丁寧に説明をすれば分かってくれ、とったものを海に戻してくれる。相互理解のための努力不足。7、プレジャーボートの法的規制、規定を作り、漁協には経営改善のための規制緩和を望む。現在は逆である。8、漁協祭りを実施しているが、漁協側の一人相撲の感じである。9、漁業は3000万円の高収入があることも知って欲しいなどとの意見が寄せられた。

市町村からは、1、海亀の産卵地として環境保護に努め、産卵地を確保したい。2、漁協は流通を含めて大きな視野に立ち、今こそ海のリーダーシップを発揮すべきである。3、漁業不振が原因で、漁協の主体性がなくなっている。4、漁協の活性化には地方議員、役場、各種団体などが広範な意見を出し合える場づくりや体制づくりが必要。港が特定地域振興重要港湾指定を受けているため、整備事業を通じて、自然環境を漁業者も市民も守っていく意識が醸成されることを望むなどという意見があった。

なお広範囲にわたり多くの意見が寄せられたが、その一つ一つが大変示唆に富み、吟味すべきものであった。

 

 

 

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