日本財団 図書館


しかし、他方で、市町村税については、受益と負担をより直接的に感ぜられるような税体系にすべきであり、また、消費課税の役割は住民税や固定資産税等の中に吸収して考えられるという考え方もでてくるところである。従って、この交付金は廃止し、地方消費税は、全額道府県の税源とした方がよいという考え方がでてくる。

また、軽油引取税交付金は、道路財源として指定都市に交付されるものであり、このように使途が特定されているものについては、受益と負担の関係がよく分かるものであり、また、道路財源としての重要性を考えると現行(交付率については別に議論するとして)のままとするのがよいと考える。

また、ゴルフ場利用税交付金については、市町村の行政サービスとの受益関係もあるということで交付されているものであるが、独立税主義を貫くという意味から、道府県のゴルフ場利用税として全額収入することとし、この交付金は廃止したほうがよいのではないかと考える。

6] 住民税の課税方式について

住民税の所得割の課税標準の算定にあたっては、まず総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を求め、さらに所得控除を適用して課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額を求める。そして、これらの金額は、所得税法の規定に基づく計算の例によることとされている。しかしながら、譲渡所得等については二分の一しか算入されないし、土地等に係る事業所得等、土地建物等の譲渡所得、株式等に係る譲渡所得については、課税の特例が設けられており、総所得金額から分離して所得金額及び課税所得金額を求めるとされている。

また、所得割においては、課税手続の便宜の見地から、前年の所得を基礎として課税する前年所得課税方式が採用されている。ただし、退職所得についてはその性格等を考慮して、源泉徴収されるものについては現年分離課税によることとされている。

個人住民税は、所得を課税標準として課税するものであるという意味で所得税と同種の税であるが、所得再分配の機能を持ちそれを大きな特徴の一つとしている所得税と異なり、比較的狭い地域社会の費用を住民がその能力に応じて広く負担する性格をもっている税であるとされている。このような意味で住民税は固定資産税とともに地方自治の基本に最もよく沿うものであり、税収についても地方税の中の基幹税目となっているが、現在の制度については次のような問題点がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION