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流通税自体広い意味では消費課税的色彩を持っているし、この消費課税と地方団体の行政サービスとの受益と負担の対応関係はいまひとつ明確ではない。他方、当時の国会議事録等から、「固定資産税の前取り」という説明もされているので固定資産税と競合して課税されているという批判もでてくる余地がある。以上のことを総合的に勘案して、この際法定税としての不動産取得税は廃止することとし、固定資産税に統合することも考えられるのではないかと思われる。(なお、昭和29年度においては、不動産取得税の創設に関連して固定資産税の税率が1.6%から1.5%に引き下げられた。)

3] 自動車取得税及び自動車税、軽自動車税について

自動車取得税は、昭和43年度の地方税制の改正において、市町村及び道府県の道路に要する費用に充てるため道府県の法定目的税として導入された流通税であり、その導入に合わせてそれまでの法定外普通税としての自動車の取得に対する課税は廃止されることとなった。平成10年度決算では道府県税総額の3.2%、4,973億円である。これも、決して大きな割合ではない。

自動車取得税は、自動車の取得という担税力に着目して課税されるが、道路損傷負担金的性格もあり、そのため道府県及び市町村の道路目的財源とされている。しかし、自動車税及び軽自動車税の課税客体と基本的には同じであるので、これら両税と競合して課税されているのではないかという批判がでてくる。更に、不動産取得税と同じく流通税については地方税としての性格について種々の議論がなされうる。

また、道府県の法定普通税として自動車税があり、市町村の法定普通税として軽自動車税があり、前者は道府県税総額の11.3%、1兆7,369億円と相当な税収割合を占めているが、後者は市町村税総額の0.6%、1,159億円にすぎない。

自動車税及び軽自動車税の性格についても種々の議論がある。土地、家屋、船舶等の財産に固定資産税が課されるのと同じように耐久消費財である自動車という財産の所有という事実に担税力を見いだして課税される財産税の一種であるといえる。また、道路損傷負担金的性格も持っている。さらに、道路を利用して様々の事業活動や日常生活が行われているので一般的に地方公共団体の行政サービスとの受益関係(福祉等を含めて)が認められるとする見方もある。

現在、自動車税は道府県の普通税として、軽自動車税は市町村の普通税として課税されているが、これは沿革的な理由によるものであり、両税は本質的に同一の性格を持つものである。

 

 

 

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