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次に、道府県税及び市町村税全体を眺めた場合、法定税目が多すぎるという点である。地方税源が貧弱といわれる中にあって、これまでの歴史的経緯を経た各税目については、その時々の創設の理由、存続の理由は十分理解ができるものの、とりわけ法定普通税の税目の数が多いということは、地方公共団体の住民、議会にとって受益と負担を均衡させる観点からの議論や意識を薄くさせる危険性を高くしていることになる。

他方、今回の地方分権改革論議の中で法定外普通税の課税条件が改善されたり、法定外目的税の創設が認められることになったが、これまでの実績からみると、地方税収の安定に貢献できる税源の存在は極めて限られていると言わざるを得ない。現在多くの地方公共団体で議論されている法定外税目についても、市場経済を通じて外部不経済要因を減少させることを目的とした課徴金的ないしペナルティー的性格の強いものが多い。経済・社会システムの中にかかる税を組み込むことについてはメリットがあるものの、他方で地方公共団体の税収増にとってはあまり期待はできないと思われる。

(2) 義務教育職員給与費負担金の歳出規模について

以下の数値は、平成12年度の「地方財政白書」から抜きだした平成10年度決算額を基にしている。

地方公共団体の歳出規模総額は、107兆円である。

そのうち、都道府県分は、54.6兆円であり、市町村分(純計額)は、52.4兆円である。

都道府県分の性質別歳出決算額を見ると、人件費の構成比は、29.2%と相当のウェイトを占めているが、そのうち市町村立義務教育諸学校教職員の人件費は、6.4兆円であり、そのうち一般財源充当額は3.2兆円である。

(3) 具体的な税源の再配分について

1] 道府県税と市町村民税について

まず最初に、シャウプ勧告にもあるように、ある税目については都道府県か市町村のいずれか一方に専属すべきだという考えを入れるとすると、道府県民税を市町村民税に吸収統合する方法が考えられる。

平成10年度の決算額を基礎に考えると、統合後の市町村民税収は総額が、12.5兆円となり、そのうち道府県から移転される道府県民税分(東京都分を除く)は、3.7兆円、従来の市町村民税分は、8.8兆円である。

 

 

 

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