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(11) その後、シャウプ勧告により設置された地方行政調査委員会(神戸委員会)においては、国庫補助負担金のあり方について種々検討されたが、その根本であった行政事務の再配分の実現が見送られたことにより、同勧告のいう根本的な整理合理化は不徹底な結果に終わった。

(12) 昭和27年、「地方財政法の改正」(昭和28年度から適用)

国費、地方費の負担区分に関する新しい基準が確立され、それが現行法の基準になっているが、その内容は実質的には従前の地方財政法の考え方と変わりないものである。

この基準に従って、いったん廃止された義務教育費国庫負担金及び児童福祉費国庫負担金は再び復活することになった。

また、国庫負担金の対象となる経費について地方公共団体が負担することになる部分は、原則として地方財政平衡交付金法に代わって制定された地方交付税法の定めるところにより、地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入し、地方負担分について財政的な保障をすることとされた。

 

4. 地方分権一括法による義務教育に関する事務の改正について

(1) 義務教育に関する事務を含め、都道府県と市町村の教育委員会相互間及び文部大臣との関係についても大きな改革がなされた。

すなわち、文部大臣と都道府県ないし市町村の教育委員会との間、及び都道府県教育委員会と市町村教育委員会相互間の関係についても機関委任事務制度は廃止された。また、関与についても都道府県や市町村の教育委員会の自主性・自立性をできるだけ尊重することを基本に、地方自治法に定める関与の一般原則に従うものとされ、また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等によるものについても最小限度の関与とされ、しかもできるだけ非権力的な関与にするという基本的考えが示された(同法第52条の文部大臣又は都道府県教育委員会の措置要求制度の削除等)。

しかしながら、市町村立義務教育諸学校の教職員の任免その他の人事については都道府県教育委員会が所掌することについては変更がなく、また、その人件費についての国庫負担金制度(国と県とが1/2ずつ負担)についても変更はなかった。

 

 

 

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