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このことは、法定外税の税率設定にも当てはまると思われる。ただし、たとえば好ましくない事業を抑制し、最終的に当該事業を廃止に追い込むような課税をしたいとして、極端に高い税率の法定外税を課すことができるかどうかについては、意見が分かれるであろう。たとえば、青森県深浦町は、「自動販売機の適正な設置及び管理に関する条例」は、自動販売機を屋外に設置することを禁止していると報道されているが、直接に禁止することなく、極端に高い税率で「屋外自動販売機税」を課すことができるのであろうか。私は、禁止に代えて重い負担の税を課すことが、抑制目的の故をもって直ちに違法とされるものではないと考えたい。

(2) 不均一の超過課税

これまで、「公益による不均一課税」は、負担を軽減するためにのみ利用できるという考え方が支配的であった。そのために、一定のグループに対してのみ負担を高める「不均一の超過課税」を実施しようとするときには、まず、いったん原則的な税率を引き上げたうえで、超過課税を適当としないグループに対して、再び標準税率に戻して軽減するのが一般的である。しかし、これは、あまりに技巧的な処理であるように思われる。むしろ、端的に超過課税を必要とするグループのみの税率を引き上げられるようにすべきである。環境に負荷を与えている行為については、「受益による不均一課税」として負担を加重する余地がないとはいえない。しかし、むしろ環境維持目的という公益に着目した税制の活用に正面から答えるべきであろう。一般的な「公益」では無理であるというのであれば、一定の目的(たとえば環境維持の目的)で超過課税を実施できることを、法に明示するのも、一つの立法的解決であろうと思われる。環境維持の目的で金銭賦課を活用することの必要性が高まっているときに、その一般的な制度化が困難であるとするならば、せめて地方税を活用できるように工夫することが検討されるべきである。

ところで、現行法において、超過課税は、「財政上の特別の必要があると認める場合」に限り許容されると解すべきであるとするならば(法1条1項5号参照)、たとえ、環境維持目的の不均一課税を正面から認めたとしても、この要件を満たさない限り、一定の行為を抑制する目的による超過課税を実施することはできないようにみえる。「財政上の特別の必要」の規定は、安易な超過課税を実施すべきでないことを念のために定めたものにすぎず、強い規範的な意味があるわけではないという解釈も可能であると考えるが、もしそのような解釈に無理があるのであれば、この点にも、何らかの穴を開ける必要があろう。

 

 

 

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