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(3) 法定外税と平等原則・不均一課税の許容性

法定外税は、特定の課税対象を選択するのであるから、必然的に「突出した税」とならざるをえない。そこで、特定の行為等に課税することが憲法の平等原則に違反しないかどうかが問題になる。

たとえば、スーパーマーケットの出すレジ袋のみに課税する場合に、なぜレジ袋だけが課税されるのか、また、それ以外の商店等の出す同種の袋に対して課税しないこととの関係において、なぜ、スーパーマーケットなのかと問われるであろう。また、パチンコ事業者に対して、ギャンブル行為の場所の開設者ということで課税しようとすると、なぜ、パチンコ事業者だけなのかと問われるかもしれない。マージャン屋に課税しないこと、ギャンブル喫茶を見逃していることと照らして、著しく不合理であると主張されるかもしれない。

こうした問いはもっともであるが、包括的な課税ベースの税がすでに国税又は他の地方税の課税対象とされているなかで、突出した課税が一切許されないとするならば、法定外税は、実際には許容されることのない幻の制度となってしまうであろう。したがって、突出ぶりが、著しく不合理で、何人の目からみても容認できないような正義に反する課税についてのみ違法とすることにならざるをえないと思われる。

(4) 事前協議・同意制度の行方

従来の許可制度から事前協議とそれに基づく同意制度へと改正がなされた。これは、国と地方団体との間を、なるべく対等関係にしたいという地方分権推進の観点による改正であろう。しかしながら、改正後においても、同意を得ずして、地方団体が法定外税を課すことは違法であると解さざるをえない。そして、同意しない場合は、国地方係争処理委員会に対して審査を申し出ることができ(自治法250条の13)、その結果に納得できないときは訴えを提起することもできる(同法251条の5)。

問題なのは、地方税法の規定は、国地方係争処理委員会や裁判所(高等裁判所)が判断するのに十分な規範となっていないことである。このまま放置するならば、総務大臣の大幅な裁量を肯定する判例が定着しないとも限らない。では、適切な判断を可能にするような要件を法定することができるかというと、自信をもって答えることができない。

 

 

 

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