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3] 公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受ける給付で政令で定めるもの

1]は、その判断が比較的容易である。

しかし、2]に該当するかどうかについては、微妙な問題場面が考えられる。たとえば、産業廃棄物の排出に対する課税が「事業」に対する課税であるとするならば、区域外の事業所における排出については課税できないのではないかという疑問が出されよう。これは、具体的には、三重県が導入を検討した法定外税の場合に問題になることである。もちろん、区域内事業者による受け入れ行為に対する課税であれば、そのなかに区域外事業者の排出した分が入っていても、まったく問題ない。しかし、三重県としては、排出事業者の責任と負担を明確にする趣旨で、第一次的には排出事業者を納税義務者とすることを検討したようである。また、受け入れ行為を課税の対象にするのでは、県内から県外に向けて移動する産業廃棄物に対する課税ができないことになってしまうという問題にも配慮したかったのであろう。

なお、現在の事業税に関して、いわゆる分割法人の場合は、法定の分割基準によって課税標準の分割がなされている。では、複数の地方団体に所在する事務所・事業所において行なわれる事業又はそれから生ずる収入に対する税を法定外税として採用しようとする場合に、区域外の事務所・事業所にかかるものといえない仕組みはどのようなものであるのか、困難な問題がある。各事務所・事業所単位の床面積を課税標準にするならば問題ないが、支払給与額や売上額になると、その認定をめぐる基準の設定が問題になるし、所得となると、全事務所・事業所の協力で実現される性質のものであるから、この非課税規定との抵触を避けうる基準が可能なのかどうかが問題になる。あるいは、当該地方団体の区域内に事務所・事業所がありさえすれば、全部の所得に対して課税することも妨げられないという徹底した考え方をとるほかはないということになるのかもしれない。いずれにせよ単純な非課税規定のみでは、事業に対する法定外税の課税について明確な解答を用意することができないのであって(5)、これを解釈論により解決できるのか、立法的解決を要するのか大きな論点である。

さて、現在の非課税規定には、国、地方公共団体に対する一般的非課税を定めるものが含まれていない。国や地方公共団体が、民間事業者と同様に経済活動をする場合において、あえて国や地方公共団体のみを課税から除外する「免税特権」を認める必要性がないことに鑑みると、現在の法状態は、特に、国、地方公共団体であるというだけの理由で課税できない趣旨をも含んでいるとは思われない(6)。

 

 

 

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