所得割については、個人住民税の負担分任の性格から所得税に比較してより広い範囲の納税義務者がその負担を分かち合うべきものであるため、所得税と一致させる必要はないと考えられており、所得金額から個人住民税独自の所得控除を行うこととされている。現在、個人住民税の所得控除については、一般に控除額は所得税よりも低く設定されており、また、寄附金控除等の政策的な控除については、所得税とは異なる制度が設けられている。
また、一般的には、個人所得課税は法人所得課税よりも財政錯覚を生じにくいと考えられているが、個人所得課税であっても、税率構造、課税最低限をはじめ様々な構成要素があるので、例えば税制の簡素化等により、それぞれの税目について、より財政錯覚を生じにくい仕組み・構造を考えていく必要がある。
なお、個人住民税は負担分任性の観点から望ましい税と考えられるが、非課税限度額の低い均等割さえ納めていない人も相当数いるということも踏まえておく必要があるのではないかと考えられる。
【参考:課税最低限と非課税限度額】
(課税最低限)
納税者の大半を占める給与所得者について、各種所得控除の結果、その水準以下では課税されず、その水準を超えると課税が始まる給与収入の水準を示す指標を課税最低限という。
具体的には、給与所得控除、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、社会保険料控除の各控除額の合計額が課税最低限である。なお、このような性格上、課税最低限は、世帯構成によって異なる。