現行では例えば夫婦子2人、子のうち1人は特定扶養親族(年齢16歳以上23歳未満の扶養親族)の場合、個人住民税の課税最低限は325万円、所得税の課税最低限は384万2千円である。個人住民税は、その負担分任の性格から各種控除額が所得税よりも低いので、課税最低限も所得税より低い水準となっている。
なお、課税最低限の引き下げにより、それまで納税者でなかった低所得者の一部が新たに納税者となるが、個々の納税者にとっての増税額は、限界税率の高い高額所得者ほど高<なることにも留意が必要である。
(非課税限度額)
また、個人住民税の所得割、均等割については、国民生活水準との関連で、特に、低所得者層の税負担に配慮を加える必要があるという趣旨に基づいて、それぞれ非課税限度額が定められている。
所得割については、前年の生活保護基準額の水準を上回るよう世帯の状況に関わらず定められており、現行270万円である。均等割については、前年の生活扶助額の水準を上回るよう定められており、現行251万4千円である。
非課税限度額に:ついて、政府税調中期答申では、今後の課税最低限の水準、地方財政の状況等に留意しながら低所得者層の税負担に配慮を加える措置として、引き続き存続することが適当とされている。
5] 地方税における企業課税のあり方
法人課税は、経済活動における法人部門の比重の増大に伴い、法人からも公的サービスの費用を賄うための負担を求めるべきであるとの考えから成立・発展してきた。
法人所得課税の帰着については、様々な学説があり、経済学者の間でも見解の一致を見ていないが、いずれにせよ、所有者である株主に対してにせよ、あるいは製品価格や賃金への転嫁を通じて消費者又は労働者に対してにせよ、又は資本収益率の低下を通じて投資家一般に対してにせよ、最終的には負担が個人に帰着するものと考えることができ、その意味では、負担構造が間接的である。