また、費用を少なく(または受益を多く)感じさせるような財政錯覚を楽観的財政錯覚、その逆の場合を悲観的財政錯覚と呼ぶ場合がある。
歳出面では、予算制度や予算内容が複雑で分かりにくい場合に財政錯覚が生じやすく、歳入面では、増税ではなく公債を発行する場合、地方公共団体の税や受益者負担ではなく国からの財疎移転に依存する場合、複雑な税制や負担の構造が間接的な税により財源が調達される場合などに楽観的財政錯覚が生じやすいとされている。
楽観的財政錯覚が発生すると、行政サービスに対する費用が実際よりも低く認識されるので、行政サービスの過剰供給が行われて資源の浪費を招き、財政支出は膨張する。
【参考:応能課税と応益課税】
税負担を国民・住民の間で分かち合う場合に、各々の負担能力に応じて課税するのが適当とするのが応能課税、各々が公的サービスから受ける便益に応じて課税すべきとするのが応益課税の考え方である。
そもそも租税は、国民が広く便益を受ける公的サービスの費用を賄う財源であるから、なにがしかの応益的な要素が存在する。一方、受益者及び受益の程度が個別に明確でない限り(そのような場合は、使用料・手数料や分担金・負担金で賄われることが多いであろう)、厳密な応益課税を貫くことも困難である。
地方財政は、国の財政とは異なり、所得再分配や経済安定化を主要な機能とはしておらず、地方公共財の供給が中心的な役割である。そのため、公共サービスの財源たる税を、いかに公平に各納税者に配分するかが重要であり、地方税については応益課税の原則がより当てはまるとされている。