住宅の広さや間取り等の規格や一戸建てか共同かといった種別は、条件には出てきていないが、これは、住宅の価格と密接相互に関連しているからであろう。また、住居の周辺環境の条件としては、「車の規制や排気ガス・騒音の低減」等の良好な環境や静粛性、「自然環境やゆとりある住環境等の整備」が挙げられている。
一方、居住地としての都心イメージの設問では、「川、緑等の自然に恵まれている」(Aエリア5位,Bエリア2位)、「景観が良好で落ち着いた雰囲気がある」(Aエリア10位、Bエリア6位)と、Bエリアが比較的良好なイメージを得ている(このイメージが現在の転居行動につながっているかは別である。)。
ただし、良好な周辺環境が都心居住の条件であると考える者が、住宅価格の高低は関係ないと考えるのか(この場合、住宅価格を下げても現状では居住は促進されない)、あるいは、住宅の価格が下がれば、少々悪い周辺環境でもかまわないのか(この場合、住宅価格を下げれば、居住は促進される)については、さらなる調査が必要である。
(3) 都心居住と都心の活性化に関する意識
アンケート調査では、都心居住推進の論拠を探るため、都心の活性化との関係について聞いた。「都心居住人口の増加が都心の活性化につながるか」(Q10)、「都心居住施策を積極的に行うべきか」(Q12)の設問に対して、「思う」と「思わない」の回答が各々ほぼ半数であった。また、Q10で「思う」と回答した者の多くがQ12でも「思う」と回答し、「思わない」と回答した者にも同様の傾向が見られた。
さらに、Q10とQ12は、都心居住者の3分の2が「思う」と回答し、都心外居住者の3分の2が「思わない」と回答しており、居住地域による差が出ている。
Q10の理由を見ると、「活性化につながると思う」としている者は、「商業・文化施設等の活性化につながる」、「消費活動が活発化する」等のコミュニティ(小地域)の課題を上げているのに対して、「活性化につながると思わない」としている者は、「都心は高次都市機能を集積すべき」等のグローバル(広域的)な課題を上げている。
地域の人口の減少は、近隣商業・サービス業の営業活動や子供会・婦人会等のコミュニティ活動の地域の活力を減退させるであろう。都心居住者は、こうした地域の活力の減退を身近なものとして感じているのではないかと考えられる。