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1] 都市に対する愛着心の醸成と市民主体のまちづくり

地域の歴史・文化を愛し、地域コミュニティを育むなど、都市社会を成立させるうえで最も重要で基礎的な社会的基盤の形成は、そこに住み・生活する市民が主体的に担っている。このような活動を通じて、都市に対する本当の愛着心や市民としての意識が情勢され、“自らのまちは自らがよくする”という意識や行動が生まれる。このように人が都市に住むということは、市民が主体となってよりよい都市をつくる土壌を培うものであると言える。

2] 都市の活性化、創造性の涵養

都市に居住することにより、人々はアフタービジネスの自由時間を楽しむことができ、そのことによって、都市の文化機能・アミューズメント機能等が触発され、都市機能の多様化・都市の活性化が促進される。

また、個人の観点から見れば、自己実現機会の拡大を意味する多様な人々との活発な交流は、巨視的観点からは、新しい産業や文化・情報などを生み出す都市の創造性の向上として把えることができる。

3] 高次で先駆的まちづくりの推進

一人ひとりのニーズは小さくとも、それが集合すれば1つの社会的ニーズとなる。そのため、人口が集積した大都市では、高次サービスの提供や先駆的まちづくりが可能となる。また、人口集積は既存の社会資本など都市集積の有効活用にとっても重要である。

特に、大阪市の場合、先駆的まちづくりの結果、多くの都市集積がありますが、人口減少はその遊休化をもたらすことになる。このような都市集積の有効利用という観点からも早急な人口回復が望まれる。

 

3) 社会全体にとっての意義

大阪市に人が住むことは、大阪市民や都市・大阪にとってだけでなく、社会全体にとっても意味がある。

1] 公共投資の効率化

人口の郊外化による職住の分離は、都心・郊外間の通勤・通学のため交通量を増大させ、交通基盤投資のための負担を重くしている。

また、これは市街地の拡大をもたらすため、市街地整備のための膨大な公共資本投資が必要となる。大阪市の人口回復を図ることは、このような公共投資の負担を軽減させるなど、社会的な資源配分の観点からも有意義である。

2] 周辺地域の自然環境・歴史的文化遺産の保護

市街地の拡大によって、大阪都市圏の自然環境や歴史的文化遺産は破壊の危機に瀕している。都市圏中心部の大阪市の人口回復を図ることは、郊外における無秩序な開発の防止、自然環境・歴史的文化遺産の保護の観点からも必要である。

 

 

 

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