(2) 袋路の課題
袋路に面する住宅の多くは古い木造家屋であり、耐震性や火災時の避難、空き家の増加など、様々な不安を抱えている。また、建築基準法上は、袋路は道路とはみなされないため、建て替えの際に制約が多く、より住み心地の良い住まいをつくることはほとんどの場合、困難である。
(3) 袋路の再生への取組
京都市では、袋路の良さを残しつつ、さらに快適で安全なくらしの創造を目指して、市民、事業者、行政の協力のもとに、袋路を再生し、住み続けることができるまちづくりを進めている。
1] 共同建て替え
袋路に面する複数の敷地を1つの敷地に集約し、土地・建物の所有者と借主が協力して、複数の建物をひとつの建物(共同住宅等)に建て替える手法。
○目的
・建物の耐火性能の向上などにより、安全性を高める。
・一体的計画により、居住環境、まちづくりの推進を図る。
■共同建て替えの事例
―上京区 玉屋・山三小路―
事業概要
所在地 上京区一条通松屋町西入
構造・規模 鉄筋コンクリート造 5階建て
総戸数 24戸(含むオーナー住宅)
平成11年度市街地再開発等関係功労表彰
上京区の玉屋・山三小路は約1,300m2程の敷地で、2軒の表屋と、袋路に面して、奥には7軒長屋住宅と単身者向けアパート、それと2軒の住宅(AさんとBさんの自宅)が建っていました。長屋などの木造住宅はかなり老朽化しており、Aさんの建て替え希望はつよかったのですが、借家人が数十年来の居住者で高齢化していることや、法律上、住宅の多くは単独では建て替えができないなどの問題がありました。
そのような中、平成4年度に袋路再生事業のモデル地区第1号として当袋路において袋路再生協議会が設立されました。以後、借家人を含めた話し合いが進められ、さらに、敷地の約半分を所有しているBさんとの共同事業化へ向けての検討も行われました。
こうした状況に対して、本市では、共同事業を促進するため、「優良再開発建築物整備促進事業」を活用し、事業化に向けた粘り強い取組を支えてきた結果、最終的には「特定優良賃貸住宅供給促進制度」の適用により、共同住宅の建設に着手、平成10年10月に入居の運びとなりました。