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こうした状況下で、平成2年4月に都市居住更新事業計画が建設大臣の承認を受け、計画が着実に進められていった。この事業の詳細については、後述する。

 

3 川崎駅西口の取組

(1) 川崎駅西口地区の公営住宅の老朽化

川崎駅西口地区は、JR川崎駅に面しながらも、市営・県公社・住都公団等の老朽化した公的住宅団地が多数存在し、JR東日本、国鉄清算事業団、東芝等の所有する大規模敷地と併せて地区の過半をしめる状況にあった。また、駅から2〜300メートルの距離に4つの老朽賃貸住宅団地があり(表3参照)、いずれも1950年代に建設され、川崎市営住宅、公団住宅、神奈川県公社住宅、JR東日本(旧国鉄)社宅の4団地で3.86haの土地にあわせて642戸が建てられていた。

 

表3 西口地区の主要4団地の概要

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これら団地のうち、JR東日本社宅を除いた3団地は「公的借家」として一括することができる。西口地区の3世帯につき1世帯近くが公的借家(公社、公団、公営)住まいである。西口地区の土地利用における住宅系利用の占める大きさ(36.5%)とともに、市街地整備際しては公的住宅の存在を無視することはできなかった。

さらに、JR東日本社宅も含めた4つの団地は、いずれも建設後40年以上経過しており、構造体の老朽化、住戸面積の狭さ、設備の不備(電気容量の不足、浴室なし等)といった問題を抱えていたことから、外部からの市街地整備、高度利用という圧力だけでなく、内部からも改善の必要に迫られていた。

こうした一方で、建替による家賃の上昇は、居住者にとって大きな負担であると考えられた。実際、都心居住更新事業に関する話し合いに当たっては、1.2万円程度だった家賃が建替後には9万円を超えるという報告がなされ、住民から大きな反発を買うこともあった。

 

 

 

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