これら団地のうち、JR東日本社宅を除いた3団地は「公的借家」として一括することができる。西口地区の3世帯につき1世帯近くが公的借家(公社、公団、公営)住まいである。西口地区の土地利用における住宅系利用の占める大きさ(36.5%)とともに、市街地整備際しては公的住宅の存在を無視することはできなかった。
さらに、JR東日本社宅も含めた4つの団地は、いずれも建設後40年以上経過しており、構造体の老朽化、住戸面積の狭さ、設備の不備(電気容量の不足、浴室なし等)といった問題を抱えていたことから、外部からの市街地整備、高度利用という圧力だけでなく、内部からも改善の必要に迫られていた。
こうした一方で、建替による家賃の上昇は、居住者にとって大きな負担であると考えられた。実際、都心居住更新事業に関する話し合いに当たっては、1.2万円程度だった家賃が建替後には9万円を超えるという報告がなされ、住民から大きな反発を買うこともあった。