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5. 市街地の再生―都心居住の視点から

 

川崎市総合企画局都市政策部 大矢野修

 

はじめに

我が国では、高度経済成長期からバブル期にかけて、都心部における地価の急激な高騰がもたらされた。一方、生活の向上に伴い、マイホーム指向が高まったことから、人々は郊外に自分の住居を求めるようになり、郊外化の進展に拍車をかけてきたと考えられる。郊外化は、中心市街地の人口の減少、中心商店街の売上減少や核店舗の撤退など都市の空洞化をもたらした。こうした傾向は、特に地方都市において顕著であり、実質上中心市街地としての形態や機能が消失しているものも見受けられる。

こうした状況を踏まえ、国においては、中心市街地活性化法を制定し、市街地の整備改善と商業等の活性化を進めているところである。また、経済対策閣僚会議では、大都市居住者の通勤改善と既成市街地区の再構築を打ち出し、都心居住、老朽化マンションの建て替えの円滑化、市街地の整備改善等を推進するとともに、都市鉄道等都市内公共交通機関の整備を進めることが決定されている。

本市においては、南北に長く東西に短いことや東京・横浜に挟まれていること、首都圏において東京の周辺に位置することなどの地理的な特性(図1参照)から、総合計画においても、一つの区域を市の中心である都心として、位置づけるのではなく、市民の生活行動領域に併せた生活ゾーンとして、市域を3つに分割するとともに、都心、副都心、第3都心を位置づけ、多核ネットワークの形成を図ることを総合計画の中でうたっている。

 

図1 首都圏における川崎

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