1) 取り組むべき施策の内容
原則として、街並み誘導型地区計画*1の策定を促進し、日影規制に代わるまちづくりのルールづくりを積極的に進める。
街並み誘導型地区計画が策定された地区以外では、地域特性に応じたそのほかの地区計画*2の策定の義務づけを前提として、日影規制を緩和する。このため、日影を制限する測定面を緩和するなど日影規制のメニュー*3の多様化を図る。
また、都心居住施策と連動して日影規制を柔軟に運用できるよう、都条例の見直し等を行う。
あわせて、特別用途地区を活用し、商業、公益施設など生活を支援する機能を適切に誘導することにより、生活者が利便性の高い、文化的な都市生活を享受できる都市空間を実現する。
2) 効果等
地区計画とマスタープランとを連動させることにより、都心居住の推進にあわせて、オープンスペースや緑の軸の形成を誘導することができる。
(3) 既存の都心居住に関連する都市計画制度の活用
都心居住を推進するため、既存の事業や各種の都市開発諸制度を活用し、民間事業者による住宅開発を誘導する。主な事業・制度の概要は以下の通りである。
1] 住宅市街地整備総合支援事業
大都市地域の既成市街地において、住宅等の建設、公共施設の整備等を総合的に行う事業について、地方公共団体等に対し国が必要な助成を行うもの。平成11年4月現在で、台場地区(港区)や大川端地区(中央区)など17地区で実施中。
2] 再開発地区計画
工場跡地や鉄道操車場跡地など、まとまった規模を有し、都市の枢要な位置を占める低・未利用地の整備を目的とし、適正な公共施設の整備水準を担保しつつ、土地利用規制の変更、民間活力の適切な誘導と段階的な整備の推進を図る計画。汐留地区など33地区で都市計画決定がされている。
*1 街並み誘導型地区計画:地区計画の一種で、土地の有効利用の促進を図ることができる制度である。地区の特性に応じて壁面の位置や建物の高さ等を定め、望ましいまちなみの形成を誘導する制度であり、従来の前面道路幅員による容積率制限や斜線制限を緩和することができる。東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例により、街並み誘導型地区計画の一定条件が定められている区域は、日影規制の対象から除外される。
*2 地区計画:地区の特性に応じて、地区内の建築物の敷地、用途、壁面の位置、高さ等に関するルールを定め、良好な環境の街区を整備し、保全する制度
*3 日影規制のメニュー:建築基準法では、用途地域に対応して、日影の規制対象建築物、日影を制限する測定面が定められているなど、日影規制に関して基本メニューが設けられており、このメニューに基づき、地方公共団体が、条例で対象地域等を指定することとなっている。