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5.7.4. 体制、軌跡、そして結果

 

最後に、我々は、第3章で詳述した政治行政体制と、第4章で解説された様々な行政管轄体の選択した改革の軌跡、それに上述の「結果」の構図との間に、どのような関係があるのかを問うべきである。

 

理念の世界においては、体制のタイプが改革の軌跡に影響を与えるし、所与の軌跡が明確だが異なる結果の混合体に導くことを示す証拠もある。また関係するメカニズムもしくは過程(何が稼動し、何が稼動しないのか)が明らかになるので、改革の実行を目指す人々は、地方の体制を調査し、最も望まれる便益と費用の混合を生み出すだろう改革の軌跡を選択することもできる。

 

不運なことに、我々にせよ、他の誰にせよ、この理念モデルの空欄をすべて「埋める」ことはできない。第4章では、いくつかの広範な関係が政治行政体制のタイプと改革の軌跡の選択の間で確立されていることをみた。こうした関係は、例外的、逸脱的、暫定的な関係になりやすい。しかしながら、軌跡と結果の間にはかなりの「断絶」がある。記録は、信頼でき明瞭な文書に、それぞれの主要な軌跡から得られる結果の様々な混合を関連させることを認めていない。対照的に、「ニュージーランド・モデル」(Boston, et al, 1996)や「カナダモデル」(Bourgon, 1998)、ドイツの「分裂漸増主義」(Deerlien, 1998)、アメリカの「大改造」(National Performance Review, 1997a; and b)など、それぞれの長所を生かすことを提唱する競合的な主張がいくつかある。これらの議論は、結果のデータによってときおり裏付けられるだけだし、その場合でも、効果の結果には通常疑問の余地がある。

 

他方、パブリック・マネジメントの改革は、皮肉屋か愚か者が演じる、無意味な茶番であるという結論を引き出すことは、全体としては誤りである。対照的に、もし長期的な結果が曖昧なままになっているとしてさえも、なされた変化の多くが特定の個人や集団に決定的な「得」をもたらしたことは、絶対的に明らかである。また、いくつかの非常に広範な結果は、改革の実行者が念頭に抱いていたと思われる様々な「ビジョン」やオメガ(Ω)に基づいて予測できることも明らかである。これらの問題をさらに調べるためには、まず、「プレーヤー」を分解すること、特に政治とマネジメントとの接続点で、マネジメント改革の役割をさらに検討することが必要である。次章では、この作業を行う。また、第4章と第5章で明らかにしたトレードオフや逆説のうちのいくつかについての詳細な分析をさらに発展させることも必要である。この作業は第7章で行う。最後に、第8章では、様々な改革戦略と、政治家、公務員およびそれ以外の社会の人々との間の関係の結果との間の結びつきについてのすべてを包含する問題に戻ることができるだろう。

 

 

 

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