改善された情報の流れや、営利組織および非営利組織とのより内容のある協議、政府の構想と優先順位の明瞭化、厄介な関係の歴史を持つ機関間の驚くべき協働(Matheson, Scanlan and Tanner, 1997, p.88; Boston, et al, 1996pp.282-3, 359)。
また、オーストラリアでは、改革は、「大臣は今や、ポートフォリオの戦略的方向付けを行い、省庁の目標達成を指導するのにより良い立場に立っている(Management Advisory, 1993b, pp.9-10)」ことを意味している。フィンランドでは、リッポネン連立内閣(1995-1999)が、「戦略ポートフォリオ」を開発した。この「戦略ポートフォリオ」は、「政府の最重要結果領域もしくは戦略的結果領域」をその内容とし、全体的な舵取りと優先順位の決定の主たる基盤の一つとして機能するものである(High quality service, good government and a responsible civic society, 1998a, p.19-22)。イギリスでは、1997年に新たに登場した労働党内閣が、公共支出に対する新しい戦略アプローチのための基盤を形成する「包括的支出再検討(Comprehensive Spending Review)」を実施することに重点を置いた(Chancellor of the Exchequer, 1998, 首相による緒言を参照のこと)。アメリカ合衆国では、多くの専門化がその規定の多くを認めることができるかどうかを疑っていたが、GPRAが何人かによって戦略的計画の実地演習として描き出された(General Accounting Office, 1997)。
これらの戦略的イニシアチブの大半を評価する際に基本的に困難なことは、すべてではないにせよ、最高位の意思決定の質はどれほど改良されたか(改良されなかったのか)、新しい手続きは、最終的に、より効率的に生み出された出力、および/もしくは実質的により良い結果に結びついたかどうかを決定することの難しさである。決定の質は戦略的アプローチから益を得るが、確認するのは難しいという内部からの証言がある。多くのことは、より広い公務員文化が、この種の実地演習に対して、どれほど受け入れられるかに依存しているように思われる。戦略的演習の産出物が公的領域に置かれた場合、それほど疑問の余地がなく得られるものは、関連資料が政治的な優先順位と意図から合理的に明瞭で具体的な記述を与える程度に、公的アカウンタビリティーが改善されるということである(たとえば、Chancellor of the Exchequer, 1998)。しかしながら、政治組織は、しばしば、必ず外部の活動に大きな影響をもつ人がいなくても―でなければ、こうした影響をもとうとする意図さえなく―言説をなし、手続きを決定するために多大なエネルギーを捧げるというブルンソンの指摘を思い出すのが賢明だろう(Brunsson, 1989)。
5.5 システム改善としての結果
5.5.1 システム改善の概念
前節では、一種の過程に関わる改善としての戦略的マネジメントイニシアチブについて簡単に論じた。より優れた戦略的なアプローチの採用は、「システム改善」のより優れた一般的なカテゴリーに変化するという意味がある。こうした改善の達成は、政府全体のシステムをより柔軟にし、よりすばやく応答させ、より高い学習能力と適応能力を持たせるなどそのかぎりにおいて、一種の「結果」と考えられる。それゆえ、(たとえば)硬直した官僚制のヒエラルヒーを、より柔軟に、より「平らに」、かつ複数の規律を持つ組織に転換することは、その環境における新たな展開に対処する組織能力を高めたということができるだろう。こうしたことは、たとえば第2章や付表Aの最初の部分で述べられている地球規模の経済発展や社会人口学的新現象などの種類を含むであろう。