民間部門のサービスは同じ範囲の上位2/3に分布しており、道路管理よりも低得点になることはない。原則的に、こうした調査は、大規模改革の前後に行われる可能性があり(これはカナダの調査が意図したところではない)、公衆の満足度レベルが上下したことを示す一つの方法となる。実際問題として、こうした事前―事後的研究はきわめて一般的というわけではないが、高得点の方への変化が明確な例が二、三ある(たとえば、改善前後の鉄道旅行についての乗客の満足度)。この調査については、本書の第6章で市民の公共サービスに対する見解をより詳細に掘り下げるので、そこで再び取り上げる。
5.4. 過程の改善に関わる結果
5.4.1 過程の測定:概観
第1章では、公共部門組織をより高実績のものにするために、その構造と過程における変化に焦点を絞ったマネジメント改革を研究するための定義を採用した。その定義によって示唆されるのは、しばしば、改善の‘プロセス’が出力や結果の改善を達成するために取られる重要な段階であることである。また、過程の改善は、民主国家においては、それ自体が価値を持つ場合もあり、その場合もの事が為される方法が業務の結果がどうなったのかと同じくらい重要なものとなるかもしれない(たとえば「適正な手続き」や公正さ、透明性、参加といった価値に関わること)。したがって、この両者の理由から、過程の変化は注目するに値する。
また、過程の変化は行政文化が変化する兆候でもある―実際、過程の変化が起きるのは、象徴的な影響が明確に自覚されたときである。合衆国のNPRの現況報告には、政府がよりよく稼動し始める10件の証拠がリストアップされている。
・ナショナル・パフォーマンス・リビューの勧告の90%以上が実行中であること。
・大統領が22の指令と、7機関の長とともに実績協定に署名したこと。
・100以上もの機関が顧客サービス規準を公表したこと。
・9つの機関が大規模な合理化イニシアチブを開始したこと。
・複数の機関が労働組合と労務管理パートナーシップを形成しようとしていること。
・複数の機関が複雑な手続きを撤廃しようとしていること。
・政府は流行の製品を購入せず、より常識的に大量購入をすること。
・連邦政府全体で135の「大改造」研究所が刷新を促進していること。
・政府が給付金の数十億ドルを電子マネーの支払に移したこと
・連邦政府が、州や地方自治体との関係を変えようとしていること。
(National Performance Review, 1994, p.5)
明らかに上記の項目は過程の改善であり、順調に運べば最終的な結果の改善に結びつくものと思われる。重大な行政の過程の一つは、政治的指導者に助言を与えることである。オーストラリアの例を以下で採り上げる。
われわれは、実際に、改革の結果として、はるかに質の良い助言を与えることができると主張できる。昔の事例と比べれば、目的は地方と中央の職員の参加によって明確にされ、情報システムは目的と関連づけられ、政策の立案とその執行はるかに良く統合されている(Keating, 1990, p.392)。