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水準点について異論が多々あることを念頭に置いたうえで、これから水準点の技術のいくつかを用いて得られた「結果」を子細に検討する。第一に、表5.11では、EFQUM「優良事業」モデルを用いて、イギリスの200,000人の職員を持つ「ネクスト・ステップ」の26機関と、民間部門の平均の結果を比較している。

 

表5.11 イギリス省庁機関の水準点によるEFQM評点

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出典) Next Steps Team, 1998年; Cowper and Samuels, 1997年

 

このモデルでは、顧客の満足度20%、事業結果15%、「人の満足度」9%、「社会的影響力6%の場合、50%という評点が与えられる。おそらく、この表の主たる問題点は、ひとつのものに見えても最終的には別のものにみえるということである。つまり各欄の数字に達するプロセスが異論のある想定や妥協で満ちているということである。特に、総合点が50%以下のものは、第1章(図1.1.)で定義されたとおり、結果に原因が帰されることに注意すべきである。50%を超えるものは、「指導力」や「人的管理」などの「人間に備わった能力」に置かれている。

 

もう一つの水準点設定の形態は、一つの国家組織内の同一もしくは同様のサービスを提供する異なる単位の比較である。こうした比較は、学校や病院、地域社会健康管理組織、地方自治体の全国的な「成績表」の出版を含めて、イギリスでは多々行われている。表5.12に掲載されているのが、この「成績表」の一部抜粋である。

 

この表は毎年発行されており、国中の国民医療システムの全施設を網羅している。当初は、この表には、診療結果の直接測定尺度はほとんど含まれていなかった(たとえば、表5.12では様々な条件下における患者の待ち時間はわかるが、結果的に受けた看護が効果的だったか否かについてはわからない)が、そのうちに診療に関わる指標がいくつか付加された。水準点設定は、その他行政の多くの側面に適用することができる。たとえば、スウェーデンの行政機関における予算および財務マネジメント過程の国内および国際間のランク付に関する重要な資料がある(Dahlberg and Isaksson, 1997)。

 

 

 

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