フィランドの数字は、表5.10に示されている。スウェーデンの統計と同じく、この数字も1970年台と1980年代に生産性が下降し、1990年代にこの趨勢が反転するという全体像を見せている。また別の研究(Niemi, 1998)では、48のフィンランドの制度全般を通じて、1994-5年の総生産性の成長の加重平均は0.8%だった。1990年代初頭はフィンランドのサービス経済危機の時期で、自治体予算の削減を含む大幅な予算削減が行われた。この予算削減は、中央政府が市町村に大まかな総額を設定し、これらの資源の各サービス間の配分を決定するに当たり、市町村に対して従来よりはるかに多い自由の幅を残す「枠組予算編成」」という新制度を介して実現された(付表「国別資料:フィンランド」を参照のこと)。換言すれば、フィンランドのデータは、先にスウェーデンに対して行った解釈、すなわち予算削減は生産性向上の強烈な刺激になるという解釈と一致しているということである。