出典)SCP, The Netherlands, 1991
5.3.3 業務結果:生産性率
生産性の増加はたいてい、投入の出力比の改善と定義される(図1.1)。それはそれとして、そうした増加はさまざまな、きわめて異なる状況を介して生起するのかもしれない。
・資源(投入)が減少し、出力が増加する場合;
・資源が同レベルにとどまり、出力が増加する場合;
・資源が増加するが、出力はさらに大きく増加する場合;
・出力に動きはないが、資源が減少する場合;
・出力が減少するが、投入はさら大きく減少する場合;
これらの状況のどれが関係しているのかを知ることが重要なのは明らかだ。たとえば、1970年代と1980年代は、「英国製鉄」も「英国石炭」もかなりその平均生産性をあげた。そう言えば聞こえは良いが、それも両社が急速な業務縮小に走った―工場を閉鎖し、人員を失業に追いやった―ことを思い出すまでの話だ。製鉄工場/炭坑―が少なくなればなるほど生産性は向上し―生産性がもっとも高い数ヶ所のみが残った。こうした状況を理解すれば、表5.7に描かれているような、統計についてもっと猜疑心の強い見方をするようになる。
公共サービスの生産性(石炭や鉄鋼のような産業の生産性とは別の)に関する、‘比較’データはめったにない。きわめて詳細な数字があるのは1グループの国についてのみ、とくにスウェーデンとフィンランド、である(アメリカ合衆国もまた長期間にわたって連続した統計があるが、焦点が当てられているのは労働生産性のみである)。スウェーデンのデータは、表5.8に掲載されている。全体的なパターンは1960年台から1970年代にかけて‘下り坂’、その後に1980年代の水平が続き、1990年代初頭になって増加に転じた。もっと詳細に分析は、支出の削減(‘支出節減’)と生産性の増加の競争の間の強い相関関係を示している(表5.9)。
特定殊の事例の詳細な検討は、パブリック・マネジメントの改革は、とくに予算削減か、もしくはサービスに対する需要増が資源投入の相当の増加と平行せずに実行された場合には、生産性を向上させるのに役立つが、そうした、投入を押し下げる圧力のないマネジメントの改革は、必ずしも生産性の向上に極めて効果的ではないことを示している(Murray, 1998年; Swedish Ministry of Finance, 1997)。