5.3.2 業務結果:活動と出力
本書はこれまで業務結果を、主として「支出削減」という語で論じたが、その場合の「支出削減」は(そのあらゆる形態において)財政的‘投入’に密接に関連するものだった。それでも、先にも触れたとおり、過去20年間のマネジメント改革の多くは、より多くの出力志向のアプローチと、結果志向のアプローチだった。したがって、ますます、業務結果は出力という語(もしくは、時に活動こそ出力を直接もたらすものと考えられる)もしくは結果、あるいはいくぶんか両者の混合物によって思考されてきた。「より少ないものから、より多くのものを」、「あくせくするのはやめて、スマートに働こう」、「公共サービスをもっと割安に」といった好評のスローガンはどれも、努力(投入)との関連づけながら、出力サイドの方程式に注意を向けさせてきた。これはまったく賢明な指摘である―出力の水準を保つことを非常に熱心に調べることはないが、もしこのことが投入の着実な減少という背景の下でもたらされるなら、それは生産性の利益としては相当なものがある。同じく、ある機関が予算の増減のない条件下でその活動を増やせば、それは有益な「結果」だと考えられる。
‘活動’の変化に関わる情報は、生産性に関わる情報に比べて、はるかに大量だという傾向がある。公共部門の組織は、しばしば、どのような効果があるのか、あるいはそれぞれの活動にいくら費用がかかったのかに関わる情報をもっていない場合でさえ、みずからが何を「した」かについての詳細な記録を保持している。マネジメント改革がいかに活動の増強をもたらしたかを示す豊富な報告書や研究がある(たとえば、Carter, Klein and Day, 1992; Chancellor of the Duchy of Lancaster, 1997; Management Advisory Board, 1994; Swedish Ministry of Finance, 1997)。
活動はただ増強されるだけでなく、さまざまな代替的供給者に移転されてきた(すなわち、国は依然として、サービスの代価を支払っているが、その提供は外部団体に委託されている)。この過程の一つのおおざっぱな指標は、会計慣習によって左右されるのだが、移転支出と比較するときの直接消費向かう公共支出の総額であろう。表5.5は、本書で検討している期間の最初の年(1980年)と1996年における10ヶ国の実態を示している。
はっきりしているのは、最終消費の割合がどの事例でも下がっていることだ。数字が利用可能な9ヶ国のうち6ヶ国は、移転の割合が増加している。しかしながら、これを解釈するにあたっては、注意が必要である。この変化の大半が、人口統計学的および雇用に関わる趨勢に反応した福祉移転プログラム―とくに年金と失業保険給付金―の継続的な成長を示しているからだ。この成長に比べ、外部委託はあまり影響力はなさそうである。にもかかわらず、サービス直接提供から離れる動きは、やはり多くの国々でかなり大きく、それは中央政府レベルでも地方自治体レベルでも同じである。たとえば、オランダの社会文化計画局(the Dutch Socio-Cultural Planning Office)は、表5.6で示されているようなオランダ中央政府の傾向を詳述している。
むろん、他国に比べてサービスの直接提供への関わり方がより濃密だった国もある。そうした国ではそれゆえ外部委託された範囲がより広かった。たとえば、スウェーデンとイギリスは相対的に重度の直接提供者であったが、ドイツはそうではなかった。多くの、活動の増強、低レベルの政府の活動の規制、活動の外部委託があったが、活動のデータもしく出力‘だけ’が限られた価値や意味を持つという事実は残る。品質データと原価データと一緒にならないかぎり、あまり意味が無い。機関Xが25%増の申込者を処理していることがわかれば興味深いが、この情報はその機関のコストや申込者が受け取るサービスの質に関わるデータと併せて考察されなくてはならない。