各国の中には、大きな変化を示しているところもある。ニュージーランドは1990年の-5.4%から、1999年の1.0%へと飛躍している。フランスはこれとは違い、1980年の0.0%から1990年の1.0%を経て、1999年には-3.5%に落ち込んだ。熱狂的なNPM支持者であればとくに言及するだろうが、先進的なNPM国である3ヶ国―オーストラリア、ニュージーランド、イギリス―はそれぞれ、継続的に上昇の動きを示しているが、2つの最大の「NPM後進国」―ドイツとフランスはそれぞれ、水平な軌跡と下降する軌跡を示している。しかしながら、表5.1に関連して上述した条件がここでまた適用される。
表5.3は、「支出削減」について、第三の展望を提供する。ここに示されているのはOECDによる、1990年と1998年の総公共負債の推定対名目GDP比である。ここで意外なのは、9ヶ国のうち8ヶ国で負債比率が‘増加’していることである。これは、この期間中に各国政府の大半が用いたレトリックに添うものではない。負債の比率の増加が特に急激なのはフィンランドとスウェーデンであり、フランスとイギリスもかなり急である。ここでは、第4章で確認された四つの戦略(維持、近代化、市場化、最小化)のいずれとの相関関係もなさそうだ。
出典):OECD
ここで表5.4に視線を転じると、公共サービスの職員をもっとも多く削減した国がわかる(2行目から4行目)し、同じくその賃金総額がわかる(5行目から7行目)。意外ではないことに、この表に見えるパターンは表5.1に類似している。オランダとニュージーランドは、同国の経済に占める職員数の比率が大幅に少なくする一方、その他の国々のいくつか(フィンランド、フランス)ではこの比率が実際に増加した。この尺度では、イギリスの実績(大幅な削減)が驚異的なのはおそらく、主として以前の国有産業が大規模に民営化されたためだろう。
しかしながら、同じく驚異的なのは、「出発点」だった1985年との相違である。同年には、スウェーデンは公共部門の職員数は全被雇用者の内の3分の1だったし、オランダやアメリカ合衆国では同じく14〜15%だった。