c) X年の前年に‘予測’された財政投入と比べて、X年の財政投入は削減される(こうした減少は、前年より多い投入となっていることもある)。
d) 供給されたサービス/実施された活動の減少をともなわない財政投入の削減(すなわち、図1.1に示された効率性の利益)。
e) 供給されたサービス/実施された活動の削減による財政投入の削減(これは、投入と出力削減の相対的比率の変更による効率性の‘喪失’である。)
f) 単位あたり支出(すなわち、処理事業1件当たりの支出)の削減。もし活動が増加した場合、単位あたりの支出の完全な実質的な削減は、予算の増加によってともなわれることはない(予算の増加は、単位あたりの支出額Xによって決定されるため、量的な増加は単位あたりの支出の削減を上回るかもしれない)。
g) 国のある部分で行われていた活動が別の部分に(たとえば、中央政府から地方自治体へ)移転される場合、その結果として、制度全体としては節減がまったく行われていないとしても、一つの行政管轄体では「支出節減」が行われたかのように見えることがある。
h) 国有部門で行われていた活動がすっかり外部に移転される(民営化)場合。この場合政府は「支出節減」を行った(少なくとも、総公共支出においては)し、売却価格の形で一回限りの受領金を勝ち取る。市民は利益を得るかもしれないし、得ないかもしれない。税が下がるかもしれないし、そうではないかもしれない。市民は今後同じサービスを以前と同じ価格か、以前よりも高い価格で購入しなくてはならないかもしれない。あるいは、以前よりも安い価格と高効率から利益を得るかもしれない―これらの結果はすべて、市場や規制体制、マネジメント技術、その他の変数など、それぞれの状況に特特定の要因によって左右される(Naschold and von Otter, 1996)。
i) 純粋に仮定された将来の出来事(たとえば「労働パターンに変化が起きる場合、二年間は経常支出を15%減らすことができるようにすべきである)。
したがって、支出削減がなされたという主張は、それが何を意味するのか、また出力や成果にとって何を意味しているのかを判断するためのさらなる質問や吟味を行なわせることになる。それを念頭においた上、以下「支出削減」の、多岐にわたる証拠のいくつかを検討する。
表5.1は、1985年から1999年までの、10ヶ国の政府支出の対GDP比を示している。一目でわかるのは、対GDP比が下がった国が8ヶ国、上がった国が2ヶ国あるということだ。また、とくに威勢の良い改革プログラムが実行されたことで知られるニュージーランドではとくに急激な減少が見られる。このことからパブリック・マネジメントの改革が成功して支出削減がもたらされたという結論に飛びつく前に、いくつかの条件を設けなくてはならない。