5.3 業務結果
5.3.1 業務結果:入力と「支出節減」
簡単な事例においては、業務結果は、量的に表現され、あらかじめ設定された基準と比較されることになる。しかしながら、実際問題としては、明示的というよりも推量的といえるかもしれない(たとえば、許認可権を有する部署が支出を5%削減することもあるが、これが偉大な業績であるか、合理的に期待されたものよりも小さいのか、もしくは「ほぼ適正」なのかどうかについての指標はない)。
業務「結果」のもっとも一般的な形は、伝統的な予算に見ることができる。編成時の予算は、プログラムZに120百万ドルの資源が充当されたことを示す。その予算が照会される年度末に、その会計は監査され、実際に119百万ドルが支出されたことが示される。この結果は、たぶん投入の制御が良かったこと―支出された金額が予算計上された額(事実上あらかじめ設定された基準)に近く、かつその範囲内―を示している。
全体のレベルでは、公共支出の総額について問われる。政府はたとえいくつかの事業に対して予算見積額を首尾よく達成したとしても、なかには制御を逸脱するものも出てくるかもしれず、そうなると全総額は当初の計画の幅から外れてしまう。そのため、公共支出に対する全体の「目標額を達成」することもまた、重要な結果である。
前章で見たとおり、支出節減は多くの国にとって主要な目標だし、パブリック・マネジメントの改革に対して大きな影響力を持つ。政府は、確かに、すなわち公共支出の伸び率の削減、公共支出の対GDP比を横這いにすること、対GDP比における絶対額の減少のような全体的な支出節減「目標」達成するために格闘している。1994年の「カナダ事業評価(Canadian Program Review)」や、イギリスの「公共支出調査(Public Expenditure Survey)」に起きた変化、北欧諸国やニュージーランドにおいて予算手続きの諸改革―これらはすべて、それにその他の多くのものが、支出節減を念頭において計画された。また、EUのマーストリヒト条約の「乖離縮小化規準(convergence criteria)」についても想起すべきである。これには公共部門の赤字をGDPを3%下回る水準に保たなくてはならないという規準である。
それでも、曖昧さは、こうした、一見したところ単純な「結果」測定にも簡単に忍び込む。経験豊かな予算担当者は、「支出削減」の後には以下の一つ、もしくはそれ以上のものが続くということを知っている。
a) 各年の実質価格水準を用いた場合(すなわち、インフレーションは見込まれない)、対前年比で財政投入は削減される。
b) 今年と昨年の双方に同じ価格水準を用いた場合、財政投入は対前年比で削減される(その結果、たとえば前年の名目/実質の現金支出を100とし、今年の名目上/実質現金支出が105で、インフレーションが10%であれば、名目支出が高いという事実にもかかわらず、これは支出削減と計算される)。