日本財団 図書館


専門化(前節で取り扱った)と調整との関係は重要である。それ以外がすべて等しい場合、専門化が進行すれば、少なくとも政策と役務提供の全体的な首尾一貫性が維持されている限り、調整には‘いっそうの’努力が必要であることが示唆される。‘いっそうの’努力がなされないのなら、新たに専門化された機関はその多くが分権化もまた享受しているため、独自の路線を行くのは危険である。この問題を検討すると、MTMsにすっかり依存して満足する国はなかった。MTMsに賛成した国でさえ、新しいヒエラルヒー的方策を追加して、調整の保持、もしくは強化を確実化しようとした。

 

083-1.gif

 

083-2.gif

 

中央政府自体の内部では、調整を向上させようという試みの兆候は、明瞭に観察される(とはいえ、こうした兆候は、いくつかの事例では、専門特化と分権化に対する当初の熱狂によって引き起こされた分割に対するむしろ遅めの反応ともみられる)。ある好評を博したイニシアチブは、戦略的計画立案の形を開発するものだった。これを(それぞれ別々の方法で)試みたのはオーストラリア、カナダ、フィンランド、ニュージーランド、そしてイギリスである。ニュージーランドの戦略業績領域(Strategic Results Areas=SRAs)と重要な業績領域(Key Results Areas=KRAs)のシステムが、おそらくもっとも有名だろう(Boston et al, 1996年, pp.282-3; Matheson, Scanlan and Tanner, 1997年)。カナダでは、1994年に「事業評価」が実施されたが、マルルーニー前政権の一つの特徴と見なされていたばらばらで気まぐれな政策決定を終わらせることを意図していた(Aucoin and Savoie, 1998)。フィンランドでは、ごく最近になって「戦略的ポートフォリオ」と政府組織の戦略的評価が行われた(High quality services, good governance and a responsible civic society, 1998a, pp.19-22)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION