4.5 人事管理における軌跡/HRM
4.5.1 ‘改革の量と方向’
第3章で明らかにされたとおり、1980年代を迎えたさまざまな国は、公共サービスの性質について法律的にも文化的にも対照的な仮定条件を持っていた(ここで、「公共サービス」という用語を用いるのは剣呑である―というのは、この語は、すでにアングロ・アメリカ諸国とオーストラリアの考え方を示唆しており、‘法治国家’の伝統を持ち、公務員を「国家に出仕している人間」と考える大陸諸国とは、対照的であるからである)。それでも「出発点」が異なっていたにもかかわらず、大半の国々は同様の圧力を受けており、十ヶ国のうち半数以上の国が人事改革のための処方箋を採用していた。活動不足がいっさいなかったというのは確かである(以下のリストは選択の結果であり、すべてを含むものではない)。
・オーストラリア:1983年「改正公共サービス法」、1987年、1993年、1995年「連邦公務員の公務管理に関わる指針」、1990年「上級公務員の実績評価に関わる指針」、1997年「公共サービス法」
・カナダ:1989年「新人事管理マニュアル」、「公共サービスに関わるイニシアチブ2000」、「公共サービス白書」、1992年「公共サービス改革法」
・フィンランド:1994年「国家公務員法」
・フランス:1989年「人事関連改革を含む、公共サービスの維新に関わる首相回覧」
・ドイツ:1989年「公務員労務規定修正法」、1994年「公共サービス改革法」、1996年「市改正連邦政府公務員関連法」
・オランダ:1993年「内務省から8部門(州、司法、市町村等)への労働条件に関わる詳細交渉の委譲」
・ニュージーランド:1998年「国家組織法」、1991年「雇用契約法」
・スウェーデン:1990年「改正公務員雇用法」
・イギリス:1992年「公務員(管理機能)法」、1993年「公務員管理規範」、「白書‘公務員−継続と変化−(1994年)」および「公務員−継続と変化の推進(1995年)」
・合衆国:1978年「公務員改革法(含む上級公務員の創出)」、1994年「連邦人事マニュアルの廃止(含むNRAの一環としてホワイトハウスの芝生での文書焼却の儀式)」、1994年「連邦総労働力再編成法」