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最高監査機関(Supreme Audit Organizations)は、―この堂々たる名称は、会計検査院みずからによる命名だ―、この事業をさらに進展させてとくに評価を専業にする作業班を作った(ニュージーランド、合衆国―とはいえ、合衆国は1970年代から会計検査院に存在していた評価と方法論を扱う部局を、1990年代半ばに廃止した)。その他の国々では、最高監査機関(SAO)が評価に多大なる関心を示して、評価から技術と考え方を借用する範囲を検討したものの、評価を実行するために分離独立した部局をそれ自体として創設することはなかった(たとえば、スウェーデンとイギリス)。しかしながら、その他の国々では実績監査の場所がそのように作られることはなかったか、あるいは明快な形を取ることもなかった。フランスでは「会計検査院(Cour de Comptes)」の院長が実績分析を行うことができるし、またしばしば行っているが、実績監査の機能は、もっと時代がかった規則遵守志向の強い形態の監査から分離独立されてないし、一般的な文化としては依然としてきわめて法律遵守主義である。ドイツでは、「会計検査院連合(Bundesurechnungshof)」の主たる力点は、法の順守と財務監査におかれてきたが、実績的な要素もいくらかは対象にしている。欧州会計院(European Court of Auditors)についても同様のことが言えるかもしれない。同組織は実績監査の能力を明確に有するが、実際は、その職員の大半が、不正や法規の確認や、1994年以降は欧州議会(European Parliament)向けの年次報告書に振り分けられているのように見える(National Audit Office, 1996; Pollitt, et al, 1999)。

 

表4.4 監査の軌跡

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今までのところは、監査については、独立監査機関による外部監査に限って議論進めた。実際、外部監査機関の仕事は、公法人内部での"内部"監査の状況により、やたらに簡単に行われるか、やたらに時間のかかる困難なものであるかのいずれかである。それゆえ、ある部局の内部監査がひたすら規則遵守の作業に専念する場合、外部監査機関が実績監査を実施するのをはるかに困難にするだろう(その理由の一つに、必要な種類のデータが存在しないということがあげられる)。一言でいうなら、監査の改革は通常、会計検査院に再度、命令を発し、再度、訓練を施し、再度、技術を仕込む以上の大仕事にならざるをえない。また、そのためには内部監査の作業に相応する変化が必要とされる。われわれは、この方面で信頼できる比較による調査があるかどうか知らないが、われわれ自身の印象では(それ以上のなにものでもない)、表4.4においてSAOに現れるのと同じ大まかなパターンが内部監査の発達にも適合するのではないかと考えている。

 

 

 

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