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たとえばイギリスでは、1960年代の行政事務改革では、だいたいにおいて内部的問題として実行されたが、1980年代や1990年代の改革はいずれも、〈プライスウィーターハウスクーパーズ〉、〈アンダーソン〉、〈エルンスト・アンド・ヤング〉、〈ドゥロワト・アンド・トゥーシュ〉、〈KPMG〉など、大手のマネジメント・コンサルタント会社が少なくとも1社以上参加した。合衆国においてはレイガン、ブッシュ、クリントンの各大統領が、違いは多々あれ、三人とも継続的に実業界からの助言を受けた(この傾向はあまりにはなはだしく、1997年には合衆国副大統領は、『実際的で、まるで民間企業のような政府:全米最優良企業から学んだ教訓』と題するブックレットを誇らしげに発行したくらいだ(Gore, 1997)。両国とも、民間部門の理論と実践から引き出された、マネジメントの一般モデルは多大な影響力を持った。

 

政治関連の「シンクタンク」が影響力を持った国もある。サッチャー女史が〈アダム・スミス研究所〉、〈政策研究センター〉、〈経済問題研究所〉など右翼のシンクタンクの創り出した理念に示した関心は詳細に報道された(Denham and Garnett, 1998; Stone, 1996)。これらの理念にはしばしば、イギリス国家医療制度(NHS)や国による教育制度など、制度改革のための具体的な提言が含まれている。同じく、合衆国においても〈アメリカン・エンタープライズ研究所(訳注:米国共和党系のシンクタンク)〉、〈ヘリテジ財団〉〈フーバー研究所〉などの組織は、レイガンやブッシュの保守党政権の中に多くの共鳴者を見いだした(Weiss, 1992)。ドイツでは、〈ベルテルスマン財団〉が改革のワークショップと自任し、社会や政治、官僚制度の、民主的発展を阻害するかもしれない硬直性を除去すべく尽力している。

 

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