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図1.1. 入力/出力モデル

 

ピエールの定義に戻るなら、彼は「マネジメント」という語をまったく使用してないが、彼が詳述し分析した発展の多くは、明らかに、他の者が「管理統制主義(managerializm)」と呼ぶものか(Pollitt, 1993)、もしくは「NPM」(Hood, 1991、およびこれに続く多くの刊行物)と呼ぶものである。「マネジメント(management)」は伝統的な「行政(administration)」と同じ領域を占めているため、国家の業務を実行する新しい方法と見ることもできるが、スタイルと重視する点は異なっている(Dunleavy and Hood, 1994)。この「行政」を「マネジメント」によって置換するという進歩的方法は1972年という早い時期に、イギリスの官吏デズモンド・キーリングの注意を引き、彼によって詳述された。キーリングは両者の違いを以下のように述べた。

 

行政:「国民生活という領域において、法律とその施行、改正を再検討すること:そして、公共サービスに提示された当該領域の事例につき意志決定を行うこと」

マネジメント:「変化に関連する目標を達成しようとするにおいて資源の最良の利用法を追求すること」(Keeling,1972)

 

むろん、官吏による全行動―「出力リンケージ」全体―がすべて「マネジメントの取扱対象とされる」わけではない。キーリングの二つのタイプは完全に純粋ではない―行政は効率と政策目標につねに注意を払う必要があり、それは管理者が資源の最適利用を達成しようとするにおいて法律を無視し得ないのと同じである。だが、キーリングが捉えたのは両者が重要視する、永続的な現実の違いであり、これについては本書の後段で再考しなくてはならないし、とくにドイツにおける‘法治国家’体制やフランスの行政法と行政による支配を検討する際にはそうである。

 

 

 

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