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2 安全衛生に関する訪船指導

地方(地区)船員労働安全衛生協議会は、関係者の協力を得て、各地域又は業種の実態に応じて指導すべき船舶を選定の上、安全指導班及び衛生指導班を編成し、次の事項について訪船指導を行うとともに、各地域の実状を踏まえて、これら訪船結果に基づき船舶所有者(事業場)に対する訪問指導についても取り組む。

特に、その際、中小船舶所有者の所有する船舶及び事業場への指導を強化する。

(1) 安全指導班の指導内容

1] 漁船については、波浪や漁ろう作業中の「転倒」及び「はさまれ」による災害を防止するため、次に掲げる事項について指導を行う。さらに沖合底びき網漁業については、前年度に引き続き作業の標準化による安全確保に関する周知、啓蒙を行う。

ア 甲板及び通路等の水、魚の血のり・うろこ等を適宜清掃し、また、必要に応じ床面のマットの敷設又は砂入りペイントの塗布を行い滑らない状態に保持する。

イ 漁ろう作業等においては、滑り止めのついた長靴等の使用の励行を図る。

ウ 階段の昇降は、急に駆け上がったり、駆け降りたりせず片手は必ず手すりをつかみ重くかさ張る荷物は、一度に運ばない。

なお、階段には適宜滑り止め、トラマークを施す。

エ 漁具・漁網はみだりに放置せず、整理・整頓の励行を図るとともに、突起物へのトラマークの表示又は被覆等必要な措置を講ずる。

オ 上甲板に波浪が打ち込む場合、また、波浪が打ち込まなくても船体の動揺が激しく転倒災害のおそれのある場合は、やむを得ない作業を除いて甲板上の作業を中止する等状況に応じた措置を講ずる。

カ 作業開始前には、漁ろう装置等の点検を行うとともに、動力伝導装置等の運動部分には、カバーを適宜設ける等必要な措置を講ずる。

キ 漁具・漁網の投下及び引き上げ、さらには漁獲物を外す際、指や手をはさまれない細心の注意をはらうとともに、走行中の漁具、漁網がからんだりもつれたりした場合は、機械を停止する等安全な状態となったことを確認してから作業を行う。

2] 汽船については、「はさまれ」及び「転倒」による災害を防止するため、次に掲げる事項について指導を行う。さらに、内航船における出入港・荷役作業については作業の標準化による安全確保に関する周知、啓蒙を行う。

ア 索具又は荷役装置等の振れ回りにより危害を受けるおそれのある場所には、むやみに立ち入らせないようにする。

イ 機械又は動力伝導装置等の運動部分には、おおい等を設けることにより、それらとの接触から防護するとともに、そのおそれのある場所にはむやみに立ち入らせないようにする。

ウ 動力機関等の修理作業等を行う場合には、修理部品等を動力源から遮断するなど適当な安全措置を講ずる。

エ 梯子、ドア、ハッチ等は、船体の動揺により動かないよう固縛する等して固定する。

オ 甲板及び通路等の水、油等を適宜清掃し、また、必要に応じ床面のマットの敷設又は砂入りペイントの塗布を行い滑らない状態に保持する。なお、甲板上の通路の突起物又は係留索には、トラマークや目立ち易いもので表示して注意を喚起する等の措置を講ずる。

カ 階段の昇降は、急に駆け上がったり駆け降りたりせず、片手は必ず手すりをつかみ、重くかさ張る荷物は一度に運ばない。

なお、階段には適宜滑り止め、トラマークを施す。

キ 出入港及び荷役作業等においては、滑り止めのついた保護靴を使用するとともに、靴底にスラッジ及びゴミ等がつまっていないよう日常の手入れの励行に努める。

ク 索具、機械部品、ハンマー等はむやみに放置せず、整理・整頓の励行を図るとともに、作業中はまたいだり、乗ったりしない。

ケ 船体の動揺が激しいときは、安全な足場の確保に心掛け、身体の安定を保つよう努めるとともに、やむを得ない作業を除いて甲板上の作業を中止する等状況に応じた措置により「転倒」の防止対策を講じる。

3] 漁船又は汽船における死亡災害を防止するため、次に掲げる事項について指導を行う。

3]-1 「海中転落」による死亡災害防止対策の推進

ア 作業開始前には「作業前ミーティング」を行い、作業方法・手順、気象・海象の状況等を周知するとともに、安全確認及び安全意識の高揚を徹底する。

イ 漁具・漁網等を海中へ送り出し、又は巻き込む場合における漁具・漁網等には、みだりに身体を触れさせ、若しくはまたがらせ又は作業に従事する者以外の者をこれに近寄らせない。

ウ 漁ろう装置の運転、漁具・漁網等の走行の調整等の作業に従事する者の服装は、袖口、上衣のすそ等を締め付ける等巻き込まれるおそれのないものとする。

 

 

 

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