平成12年度(第44回)船員労働安全衛生月間実施要領
平成12年度(第44回)船員労働安全衛生月間の実施要領は次のとおりとする。
なお、近時の運輸交通分野における、点検・教育訓練等の不十分さに起因していると考えられる事故災害事例にかんがみ、発航前検査・船内教育・操練等の法令遵守の徹底を指導するとともに、船舶所有者に対する作業マニュアルの作成、社内研修の充実等、自主的な取組みの強化についても積極的な指導、啓蒙を図ることとする。
1 船舶及び事業所内の自主総点検並びに防止対策の実施
船舶所有者及び船員は、本月間の趣旨を十分認識して、企業のトップ自らの指揮監督の下に総括安全衛生担当者等の安全衛生管理責任者並びに船長及び船舶における安全担当者、衛生担当者等を中心として次の事項を実施することとする。
(1) 漁船の場合
1] 地域又は業種単位で船員災害防止のための協議会等の設置を促進し、安全衛生パトロールや安全衛生教育等の共同実施など中小船舶所有者の船員災害防止活動の活性化を図る。
2] 「転倒」防止については、甲板の清掃等漁具・漁網の整理・整頓及び突起物等へのトラマーク表示等を必ず行うなど漁ろう作業中の安全対策を推進する。
3] 「はさまれ」の防止については、作業開始前の漁ろう装置等の点検、動力伝導装置等の運動部分へのカバーの設置、漁具・漁網の投下及び引上げ等の際の安全確認等の対策を推進する。
4] 「海中転落」等の防止については、作業前ミーティングによる安全確認及び安全意識の高揚、漁ろう作業等甲板上における作業の際の命綱(安全ベルトを含む。)又は作業用救命衣の使用の徹底、げん梯又は手すり及び踏みさんを施した適切な歩み板、安全ネット等の使用の励行、荒天時における漁ろう作業の取りやめ等自主的な安全基準の作成の促進等死亡災害の絶滅を目指した、ハード、ソフト両面からの総合的な対策を推進する。
(2) 汽船の場合
1] 荷主、元請オペレーター等を含む船舶所有者の集団で船員災害防止のための協議会等の設置を促進し、安全衛生パトロール、安全衛生教育等の共同実施等中小船舶所有者の船員災害防止活動の活性化を図る。
2] 「はさまれ」の防止については、機械又は動力伝導装置等の運動部分へのおおい等の設置や、梯子、ドア、ハッチ等を固縛するなどの対策を推進する。
3] 「転倒」の防止については、甲板、通路等の清掃及び必要に応じ床面、階段等の滑り止め対策を施し、突起物等へのトラマーク表示等の励行、出入港及び荷役作業時等の滑り止めのついた保護靴の使用及び日常の手入れの励行、係船機械等の整理・整頓等の対策を推進する。
4] 「海中転落」等の防止については、作業前ミーティングによる安全確認及び安全意識の高揚、荷役作業等甲板上における作業の際の命綱又は作業用救命衣の使用の徹底、げん梯又は手すり及び踏みさんを施した適切な歩み板、安全ネット等を必ず使用するなど死亡災害の絶滅を目指し対策を推進する。
(3) 漁船及び汽船の共通事項
1] 高齢化に伴う心身機能の変化を考えて甲板、作業床等の船内設備に配慮し、重量物の取扱い及び作業姿勢等の作業方法並びに照明、騒音、温度等の作業環境の改善に努める。
2] 生活習慣病に関する健康教育の徹底、健康診断等の実施及び船員災害防止協会が実施する「船員の体と心の健康調べ」の活用により、船員の健康状態を継続的かつ的確に把握し、作業環境の整備や適正配置を行う等適切な健康管理対策を推進する。
3] 日常における生活習慣の改善等生活習慣病に関する予防対策を推進する。
4] 外国人船員に対する安全衛生教育等を徹底する。
5] 労働時間短縮の積極的推進を行う。
6] 船内飲用水の水質検査及び遊離残留塩素の含有率の検査並びにタンク等の洗浄等による適正な水質管理を徹底する。
7] 船員災害防止大会、安全衛生に関する各種講演会、講習会等へ積極的に参加し、災害防止に関するノウ八ウの修得に努める。
8] 安全衛生指導放送「船員の広場」及びファックスだより「船員行政ニュース」などにより情報入手し活用する。
9] 事業場におけるポスター、標語ビラ、垂幕、立看板等の掲示、掲揚を行う。
10] 船舶における緑十字旗の掲揚、ポスター及び標語ビラの掲示、安全担当者及び衛生担当者のバッジ、腕章の着用を励行する。
11] 安全衛生に関する改善意見、発明、考案等の提案制度を採用し活用する。
12] 安全衛生に関する企業内表彰を行う。
13] 月間の実施事項の記録及び成果についての検討を行う。