日本財団 図書館


10 係船索の災害には、多くの不安全な行動と不安全な状態が

 

出入港作業中の災害の1/3は、係船索が起因物となっています。なぜ、係船索による災害が多発するのか……次のヒヤリ・ハットの体験でも分かるように、後で考えると、明確な不安全行動や不安全状態が幾つも重なっているものです。

 

北半球の高緯度にある港で、離岸作業を行っていたときのことです。厳冬の猛吹雪の中で、二手に別れて、タグボートで沖側へ引き出すためのタグ・ラインを取る作業と、スプリング・ラインを外す作業をしていました。猛吹雪と本船の構造物に遮られていたため、甲板上で合図を送っていた乗組員は、岸壁に係止していたスプリング・ラインが外されたものと思って、ウインチ・マンに巻き込みの合図を送り、危うくライン・マン2人の手をビットとスプリング・ラインに挟み、または、スプリング・ラインが切断して、死傷災害が発生するところでした。

 

037-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION