はじめに
内航船に乗り組んでいる船員の災害(人身災害)は、10年前にくらべると発生率で40%近く減少していますが、それでもなお、年間で1,000人あたり13人の乗組員が、3日以上の休業となった災害にあっています。
特に災害が多発しているのは、『岸壁に離着岸させる出入港作業』並びに『積荷・揚荷及び準備・後片付けなどの荷役作業』であり、内航船で発生した全災害の半数を占めています。
人間の注意力だけでは、災害を防ぐことはできません。災害の要因となる見落とし、見間違い、聞き違い、思い違い、そして記憶違い、また、慣れや過信による手抜きなどの不安全な行為をなくす有効な方法として、現在では、作業の標準化による作業マニュアルが広く用いられています。
このたび、この両作業中に発生した最近の災害の実態を調べ、どのような作業マニュアルを作成すれば、災害を防ぐことができるか検討した結果を、小冊子にまとめました。
理論も大切ですが、要は、何が有効であるかを知り、何を実行するかが決め手になります。この小冊子では、作業マニュアルの作成とその内容を見直すときのチェックポイントとなる事項に絞り、極力、説明は少なくしてイラスト入りで編集致しました。
この小冊子が、内航船からひとつでも多く、災害をなくすことにお役に立てれば幸いです。
最後になりましたが、当小冊子の発刊に当たり、ご指導頂いた運輸省海上技術安全局船員部労働基準課、また、資料の提供、執筆及びイラストにご協力を頂いた皆様に厚くお礼申し上げます。
平成12年9月
船員災害防止協会