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日系観光事業者

 

面会者:支店長

日時:2000年10月18日

担当者:三木、Ari Tamat

※本人の意向により、社名など実名を伏せて欲しいとのこと。

 

■観光まちづくりの考え方について

○日本とインドネシアでは、考え方・文化などのギャップが大きすぎるので、なじまないのではないか。

○インドネシアでは、この考え方にまで至っていないというのが実感である。

○村レベルでは観光地づくりをやっているところが見うけられるが、地方自治体レベルでは旧体制とほとんど変わっていないのではないか。まだまだこれからではないか。(変わったのはまだ中央政府だけ)

 

■インドネシアにおける観光に関する課題

○ヌサ・ドゥアのような開発も、スハルト時代(独裁)だから実現できたと思う。今では、(誰もイニシアティブがとれないので)、事業として進まないのではないか。

○現在、バリは観光のために豊かになった。仕事があり、お金があるため、人々の欲求が満たされてきた。さらに今後は世帯分離の進展によるコミュニテイの変化によって、文化の根底にあるヒンズーも変わってくるのではないか.

○観光に対する考え方がまだまだ未熟なのではないか。バリの魅力に対する認識が少ないために、観光政策が少ない。

○インドネシアでは、少ない努力で金になる天然資源(石油/木材等)が豊富なために、観光に対する認識が低く、観光立国グアムなどと比べ、情報発信もほとんどない(グアムで台風被害の大きかったとき、政府からすぐに状況に対するアナウンスがあったが、バリでは全く無かった。)。

○観光まちづくりにも、権力あるコーディネータがいなければ、容易に実現できないのでないか(支店長さんからの感想として、バリでは観光まちづくりはまだまだ将来的ものと認識があると思われる)。

○リゾート内から観光客を外に連れ出して、コミュニティのダンス等を見せることもよいが、そういう場合は必ずリゾート周辺の地元から反感を買い、ビジネスに支障をきたす(地元にもダンスで生計を立てている人が必ずいるため)

 

■その他の問題点等

○教育が不充分。そもそも学校が少ない。授業も2部制(午前・午後)に分かれているのが通常。

○日本では常識的なルールが欠如しているため、基本的なルールづくりが全てのことに必要である。(交通ルールなど特に遅れている)。

○また、契約に関しても同様で、契約概念が遅れている(土地の売買が終わった後でも、元所有者が通行税や地代を求めて来たりすることがよくある)。

○税の使われ方が、はっきりと市民に伝えられていない。(現在、観光客は購入額の21%が徴収されている(10%が税金、10%がサービスチャージ、1%が観光促進費)が、そのうち1%の観光促進費が誰が受け取り、どこに使われているかなどが不明となっている。

○インドネシアは今後ますますよくなるポテンシャルは大きい。但し、それを活かす仕組みづくりのサポート(人材、ノウハウ)が欠乏している。さらに仕組みづくりに入る前に、仕組みを作るためにルール整備が必要である(教育や経験が絶対的に不足しているため)。

 

 

 

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