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バリ島各地におけるコミュニティ主導型観光地域づくりの評価

 

1. バンリ県ペンリプラン伝統村(Desa Adat Penglipuran, Kabupaten Bangli)

バリ州観光マスタープラン92年にヴィレッジツーリズムの初期事業として進められた。99年までの運営上の問題点として、

・入場料などの収入の多く(60%)が県政府にいき、その残りの40%は人件費と清掃管理費に与えられるなど、村のコミュニティには利益が回らなかったこと。

・住民による出店といった事業展開が厳しく制限されていたこと。

・生きた村として、村環境が「動態的に」保存・管理されるのではなく、博物館のように「静態的に」見せられたゆえに、生活環境の向上が遅れたこと。

 

2. タバナン県ククフ村(Desa Kukuh, Kabupaten Tabanan)

・ククフ村のモンキーフォレスト(猿の森林公園)は現地の伝統村が管理する。

・伝統村がガイドの派遣し、その収入の多くがコミュニティに回る。

・現地住民は土産店などを出店する。

・観光客からの評判はよい。

 

3. ウブド

評価される点

・観光事業はおもに現地住民が所有し運営するので効果が大きく、バリ人が運営するので文化的特色が強い。

・ウブドエリアの伝統村が観光協会(財団)Yayasan Binawisataを設立した。Yayasan Binawisataは清掃管理・駐車管理・警備・路上売り物の規制といった役割を果たしている。

・地域コミュニティーへの収入/利益分配がよい。

問題点

・ウブド郊外のアユン川渓谷周辺に、外資のホテル開発がたくさん現れた。渓谷の緑地・40%以上の傾斜地にも開発が進んでいる。

・その理由は、地域計画(ゾーニング)が手遅れて無効化となったことと、自治体は規制の実施能力が低いことである。

 

 

 

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